第2章 T.01
「いやいやいや、だーかーらー!スパイとか違いますってば!」
「そんなわけないだろ!じゃあなんで俺んちにいるんだよおかしいだろ!何を企んでる、吐け!」
「もおぉ!こんなヘマをするスパイがいますかー!!」
言い合いが始まり早5分とちょっと。
見下ろしてるやつと座り込んでるやつの言い合いとは、外から見たら大分シュールだ。
相変わらずイギリスは、私のことをスパイだと思い込んでいるよう。
おーい、こんな使えないスパイはいないと思うぞー。
「ったく往生際が悪ぃな!立て、着いてこい」
そう言ってイギリスは私の腕を掴んで立たせようと引っ張った。
「っつ!!」
立たされるもんだから立とうと思ったら、まあびっくり。左足に激痛が!思わず顔を歪める。
そういえば、空から落ちた時に打ったんだった。
まさか立てないとは。うわーお。
思わず足を抑えてうずくまる私にイギリスは声をかけた。
「何だよ、お前怪我してんのか」
「あははー……そうみたいです…はは」
なんとなーく、申し訳ない気持ちになって足を撫でなから愛想笑いをした。