第1章 イルミネーション<雲雀恭弥>
どんな輝きにも負けないで…。
イルミネーション
私の彼は、私を忘れがち。
ううん。
本当に忘れる。
イベントや、私の誕生日さえも。
友達は、そんな彼とは別れろと言うけど、別れられない。
私が好きなんだもん。
私を忘れるくらい、仕事に没頭する彼が好き。
キレイなイルミネーションで飾られた町。
クリスマスが近いことに気付く。
そんな中で、一際輝いているのは私の彼。
「なぁ、かーの女っ!」
一人でボーっとしていると、肩に手を置かれて話しかけられた。
「ねぇ、一人?オレらと遊ぼう?」
見るからにナンパ。
私は、ナンパにかまっていられるほどヒマじゃない。
「ごめんなさい。用事があるので…。」
「ここで、ずーっとボーっとしてたろ?」
「待ち合わせです。もう、ほっといてください。」
「いいじゃん。遊ぼうぜ!」
しつこい。
私の大嫌いな軽そうな男。
彼とは全然違う。
「ほらっ!行こうぜ!!」
ムリヤリ腕を引っ張られる。キモチワルイ
「いやっ!」
私が声を上げたとき、強い力で引き寄せられた。
「ねぇ、なにしてるの?人のモノにさわらないでよ。咬み殺すよ?」
え………?
「んだよ!男つきかよ!!」
男の人たちは、次行こうぜなどと言って去っていった。
「天竜、危ないでしょ?こんな夜に一人で出歩いて何考えてるの?」
「ごめんなさい…。」
「天竜が無事なら、それでいいよ。」
そう言って、恭弥さんはやんわりと笑った。
私にだけ笑ったんだ。
この笑顔は私だけのもの。
私だけの輝きだから、誰にもあげられないんだ。