第2章 作戦開始
リヴァイ達は別々に監視付きの馬車に乗せられた。リヴァイは窓から見える町に苛立ちを覚える。
(地下街とは大違いだ。弱ければ奪われるのは当たり前、隙を見せれば命はねぇ。
強いものだけが、生きていける。
ここは、日の光もありゃ、襲われる事も奪われる事も明日の心配も命の心配もする様子もねぇ。女も子供も平気で道を歩き、笑う。何もかもが違げぇ。)
欲しくてたまらない世界が広がっている。
(生まれた場所が違うってだけで、ここまで差がある。
だからこそ、俺たちは地上を夢見ていたが…そんな中で、わざわざ壁の向こうで暴れる奴らの気が知れねぇ。)
眺める景色がだんだん寂しくなり町外れに来ているのはわかった。
「もうすぐ本部に着く。」
エルヴィンが淡々と告げる。
(ファーランとイザベルは大人しくしているだろうか。
特にイザベルは初めての地上に興奮し過ぎちゃいねぇといいが。)
それから、しばらくすると大きな門が見えてきた。
ここが調査兵団本部なのだろう。
門兵が馭者とやり取りし、そのまま進んでいく。
エルヴィンの野郎が、あれは宿舎だの、なんだのと、ほざいていやがるが興味はねぇ。
仕事を済ませ、コイツを殺してファーランやイザベルと王都で暮らす。それだけだ。
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地上へ戻り馬車では、あえてリヴァイ達を別々にした。
抵抗されるのは好ましくない。
ファーランとイザベルの監視はミケに任せた。
特に警戒が必要なのは、隙をみせれば襲ってくる野生の瞳をしたリヴァイだ。
正直、リヴァイを抑えるのにミケと二人ががりになるとは思っていなかった。
予想以上の人材だ
だが、油断すると迷いなく喉を掻き切られるだろう。
兵団までの道程で町を横目で眺めているようだったが、何を思うのかは分からない。
いや、この状況に酷く苛立っている。
兵団本部に到着し、馬車から見える範囲内で宿舎等を指し示すが苛立ちが膨らんでいるのか、腕と足を組んだまま。耳を貸す様子はない。
しかし、我々には彼らが必要だ。
彼らには不本意だろうが、壁外調査の許可が下らない今、立体機動だけではなく巨人との戦う術を叩き込んでみせる。