• テキストサイズ

君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第11章 夜の帳と命令




いつもの目的地に着くと、まずは周りに誰も居ないのを耳と目で確かめる。
うん。誰も居ない。倉庫前の木箱にランタンを置いて服をピンッと引っ張って少しだけンンっ、と喉を整える。
同じ音、低い音、高い音。声を試す。よし、喉も柔らかくなってる。

最初と最後に歌う曲は決まっている。
安らぎと感謝と寂しい、会いたい。

スゥと息を吸ってティアナは風に揺られた葉音の中、心が示すまま歌い始めた。













落ち着かない夜は三人で見た夜空を一人で見上げる
誓いの場所、希望の始まり...
あれから、なんだかんだ上手くやれてる、と思う。
でも、どうにもならない気分の夜もある。
そんな夜は夜空に浮かぶ月をただ眺め思いに耽る
〖 アニキ!こっち!〗
〖 落ち着けよ、イザベルっ!〗

アイツらの姿が声が見える聞こえる気がする
まだ大して時間は経ってねえのに、ひどく懐かしく感じる。

(なあ、お前らは何処にいるんだ)
柄にもなく寂しくて。会いたくて。

屋上からフラフラとアイツらの面影を探して兵団内外をうろつく。外に出ると少し風が冷えている。
足が赴くままに歩いていると風や葉音では無い音が聞こえる。
誘われるように進むと音は誰かの歌い声だ。
〖 ティアナの歌はスゲェんだぜ!〗
…まさか、居るのか?





静かな旋律を思い起こしながら声を乗せていく。
この歌が慰めになるよう。きっとみんなに届くと信じて。


パキッ。枝が割れる軽い音に振り返るとリヴァイが切なそうな顔でティアナを見つめていた。

「び、びっくりした…」

「悪い、驚かせるつもりじゃなかった」

「てっきりお化けかと、、」

「それより、襲われる心配しろよ」

ん?少し首を傾げるとリヴァイの言いたい事がわかった。

「あはは、それはない。」

「馬鹿か。 野郎が多い兵団でこんなとこ一人だと襲われても文句言えねえよ」

「リヴァイいるから」

「は?」

せっかく忠告してるのにティアナはクスクスと笑っている。
リヴァイが呆れてるとティアナは心配してくれてありがとう。危機感の無いことを言ってリヴァイの視線の先の丸太に手を向けた。
リヴァイが座ったのを確認してからティアナは訊ねた。

「せっかくだから付き合ってよ、リクエストある?」




/ 463ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp