第10章 日常
あの壁外調査から2週間がたった。
遺族への弔問、追悼式、調査結果の報告、班の編成。
慌ただしい日々が徐々に落ち着き始め調査兵団の日常は戻ってくる。
「おい。」
「あ、リヴァイさん。」
「貸せ。」
「えっ?」
「チッ、いいから貸せ。」
ハンジさんが溜め込んだ資料を今日も運んでいると反対側からきたリヴァイさんが半ば奪い取るように資料を持ってくれた。
申し訳ない反面、正直助かった。
何せ、分厚い本が何冊もあり腕が悲鳴を上げ始めていたのだ。
「あ、少しでいいで..」
「寄越せ、何処に持ってくんだ」
「資料室です」
「とっとと行くぞ」
口は悪いけどリヴァイさんは優しい。
素っ気ない態度だけど歩調も私に合わせてくれる。
班が違うけど、こうして助けてくれるし時間が合えば同じテーブルで食事を摂っているのでハンジ班のみんなとも馴染んできた感じ。
まあ、ハンジさんのちょっかいに眉間が険しくなってはいるけども。
「リヴァイさんの班は訓練終わったんですか?」
「ああ。」
「お疲れ様です。」
ペコリと頭を下げると「疲れちゃいねえよ。」とやっぱり素っ気ない一言。
「そういえば、明後日はうちと合同訓練ですねぇ。楽しみです。」
「そうだったか?」
「そうですよ…ってスケジュールはちゃんと確認して下さい」
「…ティアナ、そのクソみてぇな喋り方やめろ。お前の方がここは長いだろうが。」
「話し方ですか?」
「そうだ」
「うーん。いつもこんな感じなので難しいですが努力します。」
「そうしろ。それとリヴァイでいい。」
「目上の方に呼び捨てはどうで..」
「直せ。その話し方は俺が慣れてねえ。」
「わかりました。リヴァイさ、リヴァイ。」
ギロリと睨まれ言い直す。
話しているうちに資料室に着いて入室する。
両手が塞がっているリヴァイさ、リヴァイに資料室の広い机を指し示すとドスンと重そうな(実際重い)資料を置いてくれた。
「後はどうしたらいい。」
「後は一人で大丈夫で、大丈夫。棚に戻すだけだから。」
「手伝う」
「あ、ありがとう。じゃ、その本はそこの棚に...」
訓練帰りで疲れてるはずなのに片付けまで手伝ってもらって予想よりも早く返却し終え資料室から出て別れた。
(今度お礼しなきゃ)