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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第48章 開幕のベルを鳴らせ


 ディートの考えていることがわからない。
ディアナとは利害の一致でこのあとは切り捨てるような物言いをし、調査兵団トップとは話し合いを持つと言い出す。

「どういうつもりなの」

「何度も言ってるよね、ティアナが危険にさらされないようにするって」

「なら放っておいて、私は新しい人生を歩んでいるの」

 小馬鹿にするようにディートは嗤いながらティアナの言い分を聞く。

「それって巨人に食い殺される、いつかを待つこと?それともディアナにいいようにされること?」

 違うと言い切れない。壁外調査で襲われるか、いつ巨人が壁を壊し蹂躙されるか、抗う為、どのくらいの犠牲がでるか。

考えたらキリがない。

「ほらね。言い返せない。僕が守るよ。すべてから」

 睨みながら黙っていると駄々をこねる子供に困っている顔をしたディートは冷めたお茶を飲み干す。

「今夜はいろいろあったから疲れているだろう。湯浴みの準備もできてるから、部屋でゆっくりするといいよ。あ、先に謝っておくね。監視はつけておくから無茶はしないで」

 優しく諭すように部屋まで送るとお休みと廊下を歩いて行く。
昔、と言うには時間は経っていない。かつては当たり前だったのに薄い膜に覆われた夢に思えてしかたない。
 ディートがルエルヴィン団長やリヴァイにこの場所を知らせているなら、時期に彼らは来る。運良く逃げ出したとしても行き違いになる。待とう。そして……どんな結果がでても受け止めよう。

 殊勝なことを自分で言い聞かせても結局は言い訳で決着をつけるどころか捕らわれている。帰りたい。帰りたい。

 ティアナはこのさきにあるのは望まない道を歩く。そんな自分の姿が容易に想像できた。ティアナの不安や悲しみとなんとかならないかと二律背反に揺れて眠れぬ夜は過ぎていく。

 朝、メイドが支度を手伝う為に鍵を開けた。
ほんの少ししか開いていないがティアナは扉の裏でタイミングをあわせてメイドを押しのけて外へ一気に出る。
見張りも素早く動くが体を屈め見張りの足を掴んでバランスを崩しもうひとりは後ろ足で足首を払い、わずかな隙に全力で走る。捕まるのは解っている。待つのが正解とも。でも言いなりになりたくない。拒絶の意思を示す。

 足は痺れ、さらにスピードが落ちる。もうすぐ玄関。

「ティアナ。元気だね?」

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