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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第48章 開幕のベルを鳴らせ


久々の夜会の準備に追われつつエルヴィン団長の指示の通りにいくだろうか?と不安が湧き上がる。あの時、守る為にもう一人の自分を殺す必要があった。そのまま捨て置いてくれれば戻ることはなかった。ただのティアナ・ディーツとして生きて過ごしていた。

輝く宝石も歓声も称賛も全てを捨てた。それでもなお奪い足りないというなら私は私自身も守る為に貴方達を引きずり落とそう。
逃げても隠れても意味がないとわかったから。


※※※

夜会の主催者が近くの宿も押さえてくれているので一旦荷物を置く名目で立ち寄る。兵舎から出る時に着ていたドレスはその宿で脱ぎ捨て別に用意していたものに着替える。前回とは違う深い青のドレスに繊細な造りの装飾品を身に纏う。
呆れたことにアーリアであった時のドレスをクルトは保管していた。
でも今の私の戦闘服としてこれほど相応しいものはない。
準備に時間はかけられないがきちんとしなければ意味がない。
到着時より華やかなになり恐らく兵団での私しか知らない人は同人物とわかることはないだろう。
コンコンとノックがあり時間がきた。最後に姿見でチェックしにこやかにドアを開く。

※※※

一々着替えなくともティアナは人を引き付ける魅力がある。俺がどれだけやきもきしているかなんて思ってもいないだろう。
そのティアナが改めて着飾った姿は夜会や茶会などで見た、どんな女よりも俺を惹き付けて廊下だというのに衝動的に抱きしめた。
ふわりと柑橘系の香りがする。
腕の中のティアナは普段は恥ずかしがるが、今夜は俺の背に腕を回ししっかりと抱き合う。

「絶対に無理はするな、いいな」
腕の中でティアナが頷く。

「大丈夫。私は大丈夫だから」

それは自分自身に言い聞かせている呟きに聞こえ、リヴァイは腕に力を込めた。
人目を気にせずにティアナの額にくちづけ、もう一度リヴァイは念を押す。

「少しでも危険を感じたら声をあげろ、すぐに行く」

時間が迫っているなか二人は見つめ合い、ティアナは微笑んだ。

「行くぞ」

手を握りヒールとドレスでゆっくりと歩くティアナにあわせる。
この後、どんなことがあってもティアナを離さない。
そう心に刻み込んで宿から会場へ向う馬車に乗り込んだ。



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