第46章 敵の敵は味方
繊細な作りのネックレスは白金と濃い瑠璃色が儚さと強さを醸し出して、品の良いこの一品が特別であることを示していた。
「・・・素敵」
もっと気のきいた言葉があるはずなのにティアナはこれ以上の言葉が出なかった。ただ目の前のネックレスとリヴァイの心に涙がこぼれそうになる。
「正直、お前には安物だとはわかってる。だが俺のエゴで悪いがティアナに着けてほしい、と思った」
「違うよ、リヴァイ。このネックレスより価値あるアクセサリーなんてないよ。ねぇ、着けてくれる?」
くるりと後ろを向き邪魔な髪を右に流す。
器用な指がティアナの首筋を掠めネックレスがティアナの首に収まった。
リヴァイの正面に向いて微笑むとリヴァイも穏やかな表情でティアナを見つめる。
「良かったですな。とてもお似合いだ。旦那、迷った甲斐がありましたな」
途端に気まずそうなリヴァイとは正反対に店の主人はニコニコしている。ティアナが会話についてきていないのがわかった店主は続けていく。
「本当に注文の多い品だったんですよ。おかげでこちらも納得いく良い仕事ができました。私がいうのもおかしいですがお世辞抜きで本当にお似合いです」
べらべら喋るな。と店主に言うも取り合わず、更にちゃんと伝えない貴方様の代わりに申し上げているんですよ。と返される。バツが悪いのか、世話になった。と言うとティアナの手を引いた。その姿を店主は和やかに見送った。
「エルヴィンほどじゃねぇが商売人は口が良く回る」
「団長みたいな人は一人で十分だよ。何人もいたら大変」
「違いない」
リヴァイはとても上機嫌で歩いていくと丁寧に手入れがされた公園があった。少し歩いていると休めるようベンチが設置されており二人はリヴァイが最低限許せるまでホコリを払ってから座った。咲き誇る花の香りが爽やかな風に乗って二人を包む。
「リヴァイ。本当にありがとう。どうしよう、とても嬉しくて舞い上がりそう」
「あの店主に先を越されたのは癪だが良く似合っている。できれば、いつも身につけてほしい」
「そしたらリヴァイのことばかり考えちゃうなぁ」
「いいじゃねぇか、俺でいっぱいになればいい」
どちらからともなく顔が近づいて優しいキスを交わした。