• テキストサイズ

君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第46章 敵の敵は味方



エリーさんの高圧的な態度はやっぱり敵をつくってしまった。
でもこれで変わるほど彼女のプライドは低くない、と思う。
きっと彼女は機会を狙ってくるだろう。それまでにこちらも対策は考えておかないと以前よりも状況が悪くなる。
でも正直どうくるのか、わからない。
薄っぺらい関係性の私には彼女の思考・行動は当たり前に読めない。おそらく接している時間が長い分だけ団長に相談するのが一番とわかってはいても、告げ口をするような真似はしたくない。エリーさんが目の敵にしているのは私だ。これは私とエリーさんの問題。迂闊な第三者の介入は余計に拗れる気がする。
何が有効なのか考えながら今はできるだけ刺激はしないようにしよう。
この時、自分の考えを後悔するとも知らずに呑気に構えていた。




「体調がすぐれなかったとは言え昨日は報告もせずに自室で休んでしまい申し訳ございませんでした」

「いや、気づかなかった私に責はある。ただ、今後はそうなる前に言って欲しい」

昨日は怒りのあまり自室にこもって仕事を放棄してしまったエリーにエルヴィンは柔らかに注意する。
本来なら罰するところだがすでに昨日の騒動は耳に入っている。エルヴィンは根回しが済むまでは優しい上司を演じることにした。
責められないのを怪訝に思っているエリーに怪しまれない程度にねぎらいの言葉と態度を示す。

「ここのところ、君に頼ってばかりだったからね。少し休暇を取るのもいい」

エリーは想定内の提案に心中でほくそ笑む。

「それでは団長の補佐ができませんし 」

建前で遠慮するが団長のエルヴィンからの提案は都合がいい。

「しかし、それでは…示しがつきません」

「有能な補佐官を倒れるまで仕事させる方が示しがつかないよ」

にこやかに微笑みながらも反論は許さない。

渋々とそれでもありがたく。といったふうに演じながらエリーはエルヴィンの申し出を受けた。
心中では事務方からの苦情対策でしょう。と黒い感情を抱きながら目的遂行のためなら今は我慢するわ。
表情には出さずに微笑んだ。


自室に戻りすぐさまアポイントメントの手紙を送り、不自然に思われないようちょっと旅行に行くような用意をし兵団の門を抜けた。

/ 463ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp