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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第45章 独りじゃない



まさか反抗されるとも記録や証人まで用意周到に自分を追い詰める手筈を整えてたとは思いもよらなかっただろうエリーさんの顔色は青ざめた。

「これ以上の口出しは無用です。お帰りはご存知でしょうがあちらです」

柔らかな笑顔でドアに向け手を向ける。
自分の立場が悪いとわかったのかエリーさんは無言で出ていった。
しばらくの間、空気が止まったように音ひとつなかった事務室は一斉にやってやったとばかりに解放感に満ちた表情と声をあげた。
ボケっと一人状況についていけない私にカレンが肩に腕を乗せて見た!?あの顔~!もうっ、最っ高!と興奮気味に話しかけてくる。やっぱり詳しい状況が知りたくて説明を求めるとどうやらエリーさんは事務室所属の皆から顰蹙を買いに買いまくって限界で意趣返しを行ったのがあのやり取りだった。

「大丈夫かなぁ」

「大丈夫に決まってるじゃない!ティアナによく難癖つけてたけど本当はあの女の方が媚び売りの門外漢なのに嫌がらせは得意ときたもん!」

「あの、証人って…」

「あぁ、今回留守番のミケ班の人に頼んだの!」
ご機嫌で手を振るカレンに小さく手を振る男性は確かにミケ班で見かけたことがある。

「これでやっと仕事に集中できるわー!」

あちこちで嬉しそうに声を掛け合ってるなか、パンパンと手をうち室長が場を引き締める。

「嬉しいのはよくわかるが本腰入れて仕事するぞ!」
そう言う室長も見たことない晴れ晴れとした笑顔だった。






「許せない、有り得ない」
荒れ狂う感情を抑えきれずエリーは廊下を乱暴な足取りで進む。流石にこのまま団長室に向かうのは不利だという理性は残っている。
落ち着くまで一人になれる場所が必要だ。
自室に戻り腰掛けたベッドを拳で叩くが気は晴れない。あの忌々しい女。役立たずの穀潰しのくせに…
あの記録と証言が報告されたら少なくとも調査兵団からは勿論、最悪どの兵団からも爪弾きになる。
その前になんとかしなければ。あの女の弱み、知られたくないこと…記憶力の良いエリーは考えたくないティアナのこれまでの態度、言動を振り帰る。

「あるじゃない、ふふ」
恐らくあの女の弱み。
エリーは微笑みを湛え、団長室へ向かった。
絶望に歪むティアナを想像すると愉快でたまらない。
その為には下準備と根回しは丹念に慎重にしなきゃね。


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