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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第44章 新しい仕事と出会いたくない出会い



黙って抱き寄せようとリヴァイが一歩近づくとティアナも近づき二人は抱き合った。顔を首筋にうずめるとティアナの香りに香水や煙草などの雑多な匂いがする。
それでも抱きしめる腕に力が入る。
あの女を目にしたことでティアナの古傷はきっと開いてしまった。守るといった、それなのに。

「リヴァイ、痛いよ」
困った声が胸のあたりから聞こえ。力を緩めティアナの顔が見える距離でティアナの様子を伺う。

「ディアナがいた」

「ああ」

「リヴァイ、ディアナがすぐ、そこにいた」

黙ってもう一度抱き寄せようとするリヴァイをティアナは両手でそっと留めた。

「クルト達がディアナの目的を調べるって言ってた。危険なのに。他の誰でもない私の為に」

ティアナは独り言のように続ける。

「もう逃げない。彼女にこれ以上奪わせない。誰も傷つけさせない。私はティアナ。アーリアじゃない」

それは決意で覚悟を決めた言葉だ。

「ああ。いつまでもアーリアに囚われてるクソ女に遠慮することはねぇな」

何が可笑しかったのか、ティアナはクスクスと笑った。
今はそれでいい。こいつは一人じゃない。

「一緒に風呂に入るか、お前も俺も臭くてこのままじゃ眠れねぇ」

「お風呂は大賛成なんだけど絶対に一緒には入らないよ」

ふくれっ面しながらリヴァイの腕から逃れようとするが離すつもりはない。結局リヴァイが勝った。

ティアナが望むなら抱きつぶしてでも不安を除きたいと思っていた。風呂でもベッドでも構わない。でもティアナは今夜は健全に寝ると言われ中途半端な熱をリヴァイは持て余す羽目になった。
お互いに抱きしめあっているとスウスウと穏やかな寝息がリヴァイの首筋にかかる。思わず身動きしたくなったがティアナが起きてしまうかもしれないとただ寝顔を見ていた。

「なんの拷問だ、まったく」

憎まれ口を言いながらも自分の腕の中で眠るティアナの髪を起きないように優しく梳いた。


___

昇り始めた日が薄いカーテン越しに光を届ける前にリヴァイは熟睡しているティアナを起こさないようにベッドを降りた。リヴァイ達は休みではないがティアナ達は1日休みだ。サイドテーブルに一言だけメモを残し自室で兵服に着替えた。もちろん行先は決まっている。


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