第8章 壁外調査
大きな顔を近づかせ、手を伸ばしてくる巨人。
(ここが、俺の最後かよ………)
「一体!なんなんだよ、お前らって!!」
巨人が迫って難なく捕まえられた。肋骨がポキポキ折れる音が体の内側から聞こえる。
絶叫したい痛みに辛うじて保っている意識。
巨人が腕を挙げ、口に運ぼうとする。
巨人ばかりみてたが、すぐ近くまでリヴァイが来ているのが朧気に見えた。
(顔、見えねえけど物騒で怖い顔してんだろうな………すまない。リヴァイ。イザベル守れなかった。おれは…ここ…までらしい…ありがとな)
巨人が手に力を込め始めた軋む背骨。
激痛がファーランを閉じ込めるが、相棒に最後の別れを。
リヴァイに心配かけねえように。
微かな笑顔で自由な手で、リヴァイに手を振る。
あぁ、やっぱり、怖え顔だ…………そこでファーランの意識は黒く沈んだ。
目の前でファーランが手をあげ微笑む。
(ふざけるな!頼む!)
ファーランの半身が巨人の口の中に入っていくのがスローモーションで過ぎていく。
巨人の口の両端を切り、思いっきりファーランを引っ張る。
長身の彼は半分になり大量の血液を流していた。
どう、みても、ファーランは死んでいた
呆然と膝をついたリヴァイの横には無惨な姿のイザベルが光のない虚ろな瞳を見開いていた
その表情には恐怖は浮かんでいなく、何故?と聞いていた。
ドシン!ドシン!
さっきまで、大切な2人を食った巨人は楽しそうに転がったり四足で呑気に追いかけっこをしている。
冷たい雨の中、血が逆流し頭の中は何もない、何も感じない。
アンカーを刺し、これまでにないスピードで力で切り刻んでいく
1体、3体、……………ただただブレードを振るい、汚らしい返り血を浴びても肉片がぶつかっても、切り刻んでいく
それしかないように力任せに。
唸り声と叫び声が聞こえる気がする。あぁ、大きな煩い声だ。
4体目を切り刻む。「なぁ、人間ってのは、美味いのか。答えろよ。」
項を削いでも執拗に切り刻んで、倒れていく。
もう、ここには命はない…………
巨人の蒸気が蔓延しリヴァイの視界全てが覆われる。
雨は勢いを落としながら変わらずリヴァイを濡らした。