第42章 選択する勇気
カフェは女性同士や、カップルが多い。
賑やかで明るいムードが店内を更におしゃれ空間にしている。
リヴァイは意外とこの空気になじんでいて周りの人たちから見たらわたしたちもカップルに見えているのだろうかと鏡で確認したくなった。
「おい、なにニヤニヤしている」
「いえ、なんでもないよ。リヴァイありがとう」
「礼を言われるようなことはしてねえはずだが?」
ほんの些細な差でわかりにくいけど。うん。この様子はちょっと照れていて、それで嬉しい時の表情だ。
食事も、お茶もおいしく頂いてデザートを堪能しているとリヴァイの分も「俺は甘いのが苦手だ」と皿をわたしの方によせる。
「いいの?」
「ああ、お前がうまそうに食ってるのは悪くない」
「ありがとう!」
ひさびさの甘いデザートはいくらでも食べれそうな気がする。
頬張っているわたしを満足そうに眺めて紅茶を飲んでいるリヴァイはリラックスしていて、眉間のしわも鋭い目も今はない。
幸せな時間を堪能しつつ(こんな贅沢ってない)とぽかぽかした気持ちが胸から溢れてくる。
カフェでの一時を楽しんでから兵団に帰って当初の目的の為にリヴァイの部屋に着いた。
ドクドクと心臓は早く動き血が巡る。
(もし以前と同じ態度をされたら?リヴァイとの距離が開いてしまったら?)ちゃんと覚悟を決めたはずなのに怖気付いてしまう。
「ほら、茶を淹れるからそこに座ってろ」
そっと背中を押し椅子に座らせる。
ジットリと手のひらが汗ばんで話す順序がぐるぐると回る。
「ストレートも飲めたよな」
ことんと目の前にカップが置かれると湯気と紅茶の香りがふわりと立ちのぼる。
「大丈夫だ。どんな話でも今度はちゃんと聞く」
テーブルに手を差し出しわたしの手が重なる。きっと湿った手から緊張が伝わったんだろう。優しく握り返して親指でわたしの指をさする。
息を吸って、わたしは話し始める。
「まずね、退団はしない。部署は受け入れてくれる部署があればそこで頑張りたい」
「お前がどこに所属しても俺は構わないし支えるつもりだ」
「でも甘やかさないでね」
微笑んで言うと「甘やかしてねえよ。足りねえくらいだ」真剣に言うリヴァイは知ってるだろうか。もういっぱい甘えてて、甘やかされてるのを。
ここまでは特段緊張しない内容。
ここからが、わたしは怖い。
