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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第38章 気乗りしない夜会



「あなたに良心が残ってて良かったよ、エルヴィン」

ハンジが痛烈な嫌味を放ち、それを受けたエルヴィンは心外だ、という顔を見せた。

「ハンジ、いくら私でも部下にそこまでは強要しないよ」

「ハッ、お前なら部下だろうが自分自身だろうが豚どもと寝てでも資金調達しろと言い出しかねないからな」

「まったく、お前たちが私をどんな人間と見ているかがわかったよ」エルヴィンが戯けると張り詰めた空気が少し穏やかになりティアナはお茶のおかわりを用意します。と席をたった。

「ありがとう、ティアナお願いしよう。」エルヴィンは爽やかな顔で笑った。


※※※

自分を除いた人数分でお茶を用意しているとエリーもやってきた。

「手伝うわ」

「ありがとうございます」

団長室での緊張感とは別の重さの空気が流れるのを気づかない振りをして手早くカップを温め、紅茶を淹れる。
団長室へ持っていく頃には丁度良い蒸らし具合になっているだろう。
トレイをそれぞれ手にして廊下を歩くと突然エリーが口を開いた。

「随分と上官に取り入るのが得意なようね。私、あなたみたいな人が嫌いだわ。あなたは一兵士として身を弁えることを覚えなさい」

どう答えてもどうにもならない。沈黙で答えると得意げにエリーはドアをノックしエルヴィン、リヴァイの前にカップを置いて先程まで座っていた席についた。
ハンジ、ミケ、エリーにカップを置き、ティアナの分がないのをハンジが不思議な顔を見せたがそのまま流れるように退室する旨を伝え、エルヴィンの了承を得て団長室から下がった。

これ以上は一兵士がいるのは不自然だし、ティアナとしても不都合な話を持ち出されたくはないので丁度良かった。
まだ訓練中の仲間を廊下の窓から見つつ、人の少ない談話室で紅茶を飲みながら『強要はしない』という言葉を思い返しているとナナバがティアナの隣にいた。

「どうしたのかな?」

「あ、ナナバさん。ちょっとボーッとしてて」

「そっか。ティアナ確か明日は休みだよね。一緒に街に行かない?買い物に付き合って欲しいんだ」

首を傾げながらも「分かりました」と言うと「よし!決まり。時間とかは後でね」

クシャと髪を撫で満足そうにナナバは出ていきすっかり冷たくなった紅茶を飲み干しティアナはウーンと背伸びをした。

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