第37章 13代団長就任と幹部任命
「やっと帰ってきたー!ティアナ定時後で悪いんだけどお願いっ!この書類サイン欲しいんだ!誰もいなくてとっても困ってて。期限切れだから大至急でよろしく!!」
勢いよく迫るハンジに気圧され頷いたが届け先を確認しなかったことを後悔した。
執務室の前で躊躇う。あれからリヴァイは何度も手を差し伸べてくれる。それを無下にしてる自覚はある。問題は自分の弱さで、今更どうすればいいのか。いや、一部下としてサインをもらって…
いきなり腕を掴まれドアが開いたと認識する前に部屋へ引っ張られた。
強い勢いにたたらを踏んで振り返ると険しい表情を顕に、リヴァイがカチャリとドアの鍵を掛けた。
気まずい雰囲気の中、なんとか気を逸らそうと抱えていた書類を差し出すも、受け取らない。
「お前との約束を破ったこと悪かった。」
頭を下げ謝罪をするリヴァイに困惑して書類を抱きかかえる。
「だが、その後の行動は気に入らねえ。理由を聞かせろ。」
口を開きかけ、閉じるティアナを真っ直ぐに見つめる。
「私こそ…毎日来てくれたのに…ごめんなさい 」
「俺が聞きたいのはそうじゃねえ。俺を遠ざけるのは何故だと聞いている」
俯いたままのティアナにリヴァイは距離を詰め、顔を上げさせる。
潤んだ瞳からはティアナの思いが読み取れない。
「何がお前をそうさせてる?俺に察して欲しいとは思うな。ちゃんと聞くから話せ」
「リヴァイは、悪くない。ただ私が…弱い、だけ」
「よく知らんが噂ってやつか?見せつけてるってのは何だ?」
沈黙が耳鳴りを誘うが根気よくリヴァイは待つ。
「エリーさん、と付き合ってるって、お似合いだねって」
「何だ、それは。ただの補佐官だ。付き合うもなにも有り得ねえ」
「直接聞いた人に付き合ってるってエリーさん答え…」
思わず大きな舌打ちをするとティアナはビクリとしながら続ける。
「ずっと側にいてリヴァイ兵長を支えてるし私よりも
」
限界だった。リヴァイはティアナを引き寄せ強く抱きしめる。
「ふざけんな。あいつが支えてんのは仕事だけだろ、俺を支えてんのは、俺が惚れてんのはお前だ。自分を貶めることは俺が許さねえぞ」
リヴァイの胸でティアナは泣きじゃくりながら何度も頷いた。ティアナの肩に頭を預け優しく髪を梳いた。