第6章 変わり者ばかりの調査兵団
「そもそも…さ。この兵団の奴らって皆、心臓を捧げよ!とか自由とか言うけど、何でわざわざ巨人のいるとこに行くんだか俺にはわからねえよ。」
「そうだよ!人食うんだろ?!」
ファーランの疑問にイザベルが乗っかる。
難しい顔をしてティアナは答える。
「きっと、みんなそれぞれ理由があると思うよ。それこそ命をかけても良いくらいの。」
「そこが俺達には、わからねえ。ティアナは壁外行ったんだろ、巨人怖くねぇの?」
「怖いよ。人が酷い死に方する、隣にいた人が呆気なく死ぬ。その最後の姿、声が染み付いていくの。」
「なら、辞めて音楽で生きる方がいいだろ。そんな地獄にいなくてもさ。エルヴィン分隊長も辞めろって言ってるなら簡単に辞められるだろ。」
ファーランもイザベルもティアナが兵団に留まる理由が全く理解出来ない。
ティアナのまっすぐな瞳が二人に向けられる。
「それは私を生きながら殺すのと一緒なの。」
今まで見たことない凛としたティアナがそこにいた。
「壁外はいつだって怖いし逃げたくなる。ファーラン達にとって初めての壁外、油断しないで生きる事だけを考えて。」
ティアナの強い口調に気圧される。
三人の間に沈黙が横たわる、その前にティアナの雰囲気がガラリと変わった。
「驚かせてごめんね、柄にもなく熱くなっちゃった。ここにいると嫌でも熱くなるの。ファーラン達も暑苦しく変身しちゃうんだからね!」
いつものティアナの穏やかな笑顔に戻りイザベルもファーランもホッとした。
「怖がらせるなぉ〜!」
イザベルが強がって文句を言うとティアナは困った顔をしながらも謝っている。
「新手のイジメかぁ〜。質がわりぃなぁ。流石変人ぞろいの兵団だねぇー。」
ファーランも不安を隠す様に手を頭の後ろに回して笑いながらティアナを見る。
目が合ったティアナはファーランにだけ真剣な視線を向けていた。