• テキストサイズ

君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第37章 13代団長就任と幹部任命



入念な根回しと中央からの許可が降り、正式に新団長就任式と任命式が行われることがキースから全兵士に伝えられた。

兵士たちは表立って言わないもののキースが退いた後の新団長はエルヴィンが有力だろうと寧ろ遅すぎたとの言葉がそこかしこで囁かれた。

エルヴィンやハンジらはキースがこれまで兵団に尽くしてきた感謝を込め兵士との場を持とうしたがキースの静かに兵団を去りたいとの真意を汲んで表立ったことはせずに、エルヴィンやハンジ、ミケなどの関わり深く、これから調査兵団を率いていく数人で馴染みの店で飲み交わすだけにした。

そこは隠れ家的な酒場でまず、一般兵士はこない。

「これからは訓練兵団で原石を磨く。お前たちのようなな。」

カランとキースの持つロックグラスの中で酒と氷が揺れる。

「新兵だった頃が懐かしいですね。」

「あの頃はお互い青臭かったな」

一番近く、一番遠くにいた男たちは言葉少なく交わす。

しんみりとした空気を読んでハンジはキース団長が教官だと怖いなぁとおどけてみせる。

そんな四人を横にリヴァイは汗をかいたグラスの水っぽい酒をチビチビと口に入れる。
「リヴァイ、」不意にキースから声をかけられ、視線だけを向けると「あまり騒ぎを起こすなよ」ポツリと言われる。
返事はせずに自分のグラスを傾け「騒がねえよ」と返す。え〜嘘っくさ!とハンジが絡んでくる。
「こいつのほうが何倍も騒ぐだろうよ」
そうかもしれんな。とミケが呟くと「私をなんだと思ってるのさ!」と口角から泡を飛ばす。
「汚ねえな」
リヴァイが顔を顰める様子をエルヴィンたちが見て笑っていると「後は頼んだぞ」と隣のエルヴィンだけに聞こえるよう言って肩を叩いた。



キースの団長としての最後をゆっくりと酒を交わし長い夜は過ぎていく。







キースとエルヴィンの歩く後ろを酔い潰れたハンジをミケが背負い、リヴァイは並んで兵舎へ戻る。

仮にも女性であるハンジの女性宿舎部屋にミケが入るのは無用な騒ぎを起こすため兵舎内にある執務室の仮眠用のベッドへ運んだ。

「相変わらず汚ねえな。俺はここから一歩たりとも入らねえぞ。」

フンっと鼻を鳴らしてミケは「確かにな。」と言うとハンジは「ひどいな。頭がグルグルするよ。」いつの間にか起きたらしい。

ミケはハンジをゆっくり降ろして「サッサと寝ろ」と言うとドアを閉めた。

/ 463ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp