第33章 伝えたいこと
「抱きてぇ、今すぐだ」
「は、ぇ?」
「念の為、聞くが初めてか?」
さっきまでの甘い雰囲気は消え、とても生々しい事を恥ずかしげもなく当然のような態度で聞いてくる。
「あの、それは、」
「どっちだ。」
返答に困るティアナに焦れたリヴァイは腰に両手をついて急かす。
「何、いきなりっ!」
「そりゃ優しく抱くか、どうかの判断基準だろうが」
あまりの言い様に言葉を失う。
「俺は気の長い方じゃねえ。答えろ」
「ちょっと待って!心の準備!できない!」
鏡を見なくても耳まで真っ赤のはず、だって熱い。
「……大体わかった、処女か。優しくしてやる」
「だめ!今はだめ!」
ティアナの図星らしい慌てようにリヴァイはニヤリと笑った。
「ほう、”今は”だな」
「〜!」
何を言ってもかなう気しかない。そもそも付き合うのかすらわかってないのに展開が早すぎる。
「冗談だ。準備ができるまで待ってやる、着替えもねえしな」
冗談だとしても笑えない。
「リ、リヴァイの馬鹿!」
馬鹿呼ばわりはなんだ。と言いながらもティアナの髪をクシャと触れる手つきは優しい。
「いいか、ティアナは俺の女だ。俺はティアナのもんだ。よく覚えてろよ」
「それって、付き合うってことなの」
「当たり前だろうが。不満か?」
「不満はないです…」
「なら、良い」
軽く口付けを落としてからリヴァイはティアナの手を引いて出口へ足を進める。
「そろそろ戻らねえとクソメガネが来ちまう」
(あぁ、鍵はハンジさんから…)
幸せを感じる一方で今夜、興奮したハンジの尋問に耐えられるかをボンヤリと心配になった。
戻りながらティアナはリヴァイと付き合うに当たってお願いをした。
付き合っていることは公にはしないこと。
リヴァイは大層不機嫌に何故隠さなければならないかと詰め寄った。
それにティアナは私情とそれ以外はきちんと分けたいと説明し、お互い譲らずにいたが、結局はリヴァイが折れた。
「お前の言うことも一理あるのかも知らんが、集る虫を見逃すほど心は広くねえぞ」
とても真剣な顔をして独占欲を表すリヴァイにティアナはクスクスと笑ってしまい余計にリヴァイは面白くなかった。