第33章 伝えたいこと
ティアナの告白にハンジは驚かなかった。
寧ろやっとか。とさえ思った。
二人を見てればわかりやすいほどに感情はダダ漏れで気付かぬは本人達のみ。
「そっか。あの仏頂面かぁ〜。で、リヴァイに告っちゃう?」
「告白、と言うかなんと言うか…言っちゃったら今の関係もなくなる気がして……」
(あぁ、焦れったい!)
「じゃあ、そのままかな?」
「それは…無理です。他の人がそばにいるのを想像すると苦しいから、はっきりさせたい…んですが…」
「ティアナ、もう気持ちは決まってるじゃない。後は」
「怖いんです、、」
俯きながら食い気味に答えるティアナは真っ直ぐに心情を語る。
「そう。怖いよね。」
「でも。何もせずにはいられないって気持ちもあって」
(こんなティアナは初めてだなあ)
ハンジが背を押せば多分素直に行動に移すだろう。寧ろ後押しを欲しがっているに違いない。でも。
「ティアナ、後押しして欲しいだけならしない。自分の気持ちや行動は自分で決めなきゃ意味がないだろ?」
暫く無言で俯くティアナを見つめながらハンジはもどかしくてたまらない。
一度、瞳を閉じティアナは顔を上げると、その瞳には決意のような光が灯っている。
「ありがとうございます。自分がどうしたいか、どうするのか決めました。」
その頃リヴァイも何処で話せばいいか、邪魔の入らない場所は何処かを悩んでいた。
兵舎はどこかしらに人がいる。落ち着いていて話せるとは思えない。
彼は兵団の敷地内を頭の中で展開させる。
(あの場所しか考えられねえ。あの場所が相応しい)
リヴァイはその場所へ立ち寄る為に動き出した。
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今日の仕事は終わりにして1杯引っ掛けるか。かわいい友人のかわいい相談を受け、ハンジは自分の事のようにワクワクしている。結果はどうなるにしろ(良い報告が来るとハンジの直感は告げている)不安定で一歩間違えたら傷つけ、傷の舐め合いだけよりはマシだ。
パタンと本を閉じると同時に「入るぞ」と事後報告でリヴァイがドアを開けた。
「えー、何かな。今日はもう仕事は終わってるし、飲みに行きたいんだけど?」
心の中ではほくそ笑みながらリヴァイが何を言ってくるか楽しみで仕方ない。
「明日、借りたいもんがある。」