第30章 意識して作る”いつも通り”
中断はあったものの訓練はその後順調で、立体機動も以前のように使えてる。でも、もっと鍛錬を積んでいきたい。
「今日はここまで」
ハンジさんが合図を出す。ハンジさんが訓練日の時は直々に訓練をつけてくれる。
「ハンジさんってすごいですよね。息も上がってないし」
「年季が違うからねー、でも無理はいけないよ。じっくり取り掛かるんだ、いいね。」
「はい、今度はヘマしないようにします!」
「その意気、その意気。」
班長であるハンジさんにはこれからデスクワークもあるけど私は汗を落としてから手伝って。と指示を受けてる。有難くシャワーを浴び気持ちも切替える。
シャワーを浴びて洗濯したての団服に着替えて、ハンジさんの所へ行く途中リヴァイに会った。
「クソメガネのとこにか?」
「もし、ハンジさんのことなら、そうだよ」
「よくアイツについていけるな、お前らは」
「ハンジ班ですから」笑って会話を交わして、それぞれの次の任務に取り掛かる。
「やっと来たー!ね、ちょっとエルヴィンのとこに、これ持って行って。返却も再提出も受けないって言ってね!」
あ、厄介なやつだ。もしもエルヴィン分隊長が受け取らなかったらハンジさんが泣く、駄々捏ねる。
ハンジ班のメンバーを見渡すと明らかに目を逸らして知らないフリ。
仕方ない。分隊長のとこに行くしかない。
「ティアナ・ディーツです。」ノックして名乗ると、直ぐに「入れ」と許可がでた。
以前はピリピリして入室していたけれど第3医療隊から戻った後は退団を迫ることも無く、穏やかに話せるようにはなってきてる。
「班長より、作戦立案についての要請書です。」
「確認する」手を伸ばしてエルヴィン分隊長はその場で文書に目を通す。
「ハンジも考えたな。俺のところに君を行かせて文書を持たせれば、なんとか上手くいく。と思ったな。」
エルヴィン分隊長は優しい目で苦笑しながらも、どこか楽しそうだ。
「ハンジには、この案で受け取る。と伝えてくれ。」
良かった。ハンジさんが泣かなくて済む。
「ああ、それとこれを」
可愛らしい赤とピンクのラッピングされた箱は申し訳ないがエルヴィン分隊長に似合わない。
「接待でシーナに行った時にお土産として頂いたんだが君の方が好きそうだからね。」