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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第29章 暴こうとした罪の罰を知らぬ振り



「退屈な話かも知れないよ。そんなことか。とかね」

「良い。お前が話したい順で話せばいい」




「私はローゼで生まれて父は調査兵団に所属していて、それなりのベテランだったんだって。母は体が弱くて儚い感じの女性って感じらしかったよ。私は一人っ子ですごく溺愛されてたらしいけど、父が壁外調査で亡くなった後、追いかけるように母も病気で亡くなったんだって。」

他人事のように話すティアナは表情が固い。
カップから一口飲み、ソーサーに静かに置いた。

「で、引き取ってくれたのは父方の叔父。叔父は音楽家で叔母も歌い手。そこに引き取られた私は幼い頃からオモチャは楽器だったんだ。」

目を伏せながらティアナはカップの中にその頃を映しているのか。黙って続きを促す。

「叔父はシーナや王都でも評判の音楽家だった。私もよくコンサートに叔母と姉と一緒に行ったりして音楽仲間の人達にも可愛がられてた。私が楽器をある程度、弾けるようになってみんなの前でお披露目したりね。自然とコンサートにも出るようになってた。」

チラッと俺の様子を伺う。今のところ、曇りはあっても陰りはない。

「楽器の他にも歌うようにもなって音楽に愛された子なんて大袈裟な呼び名もついた。貴族やお金持ちの前で披露してね、得意になってたんだけど、そこあたりから叔父夫婦は喧嘩が絶えなくなった。叔母は普通の子として、叔父は音楽の子として。育て方の意見が別れた。」


俺は紅茶を口に含んで飲む。あまり美味く無くなってきた。

「叔父夫婦にも子供はいて、姉妹のように育ったんだけど、音楽は興味なかった。だからかな。叔父は自分の子より私に手をかけてたんだ。」

「それが育て方の違いか?」

「そう。私は音楽に関わるのが好きで楽しかったけどあの子は悲しそうに叔父を見ていたよ。わかってたのに楽しみを私は選んだ。」

ティアナは後悔しているのか、話す声も小さくなっていく。

「だんだんと家の中はギスギスしてきて、あの子も叔母も私が居なければ、って言うようにもなった。それでもステージは好評で、家よりシーナにいることが多くなった。暫くして叔父と叔母は別居になった。」

何となく、この後の展開が見える。それでもティアナには続きがある。

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