第27章 ひとつの別れとひとつの再会
あっという間に約束の文書を受け取る日が来て朝早くからハンジは第3医療隊へと向かった。
顔なじみになった門番からも世間話のひとつもして、今回の訪問目的である文書をエドゥアルドから受け取るついでにティアナの様子も見たかった。
既にエドゥアルドからはティアナに話はしているだろう。その上での文書だ。間違っても無くすなんてヘマはしたくない。頑丈な鍵付きカバンを持参し、早速エドゥアルドに取り次いでもらう。
ハンジにしては珍しくノックをして返事を待ってから入室した。
「早かったな。ハンジ」
「それはね〜。うちの姫様が帰って来れるかの返事だからね。早くもなるよ。」
「返事はこれだ。後、本人にも話は通してある。」
「…すっごく中身が気になってきたんだけど開けちゃダメかな」
封筒に蝋印のされた封筒を眺め呟くもエドゥアルドに却下された。
大袈裟に落ち込んでみせるが次のエドゥアルドの質問に真剣にならざるを得なかった。
「本部は何故、ティアナに拘る?私からすれば、ただの一般兵にしか見えない。それなのにお前達は彼女を随分と構っているな。寧ろ執着か?金か?」
この質問の返事には慎重に答えたい。
「ティアナは確かに新兵で特に飛び抜けた才能は多分ない。私達は…時には兵を他の兵のために見捨てる事だってある。それが、壁外調査だ。だけど、心がちょっとずつ腐っていくんだ。分かるだろ?それがさティアナがいると浄化されるんだ。…許される気すらする。そんなことはないはずなのに。寄りどころ、なんだ。」
「お前達、前線にたつものには必要だとしてもそんな大層な人物には見えないな。私には寧ろ手のかかる部下、にしか見えない。」
「ここも地獄なのは知ってる。絶え間ない痛みや絶望も後悔もみな持ってるからね。前線とはまた違う意味でね。きっともう少しここにいたなら、あなたにも分かるはず何だけど。知られる前に帰ってきて欲しいと私は思うよ。」