第21章 巡回公演
青一色の空は快晴で肌寒いけど公演には問題ない。
楽団メンバーは大分顔ぶれも違っているけどレオナと息が会うなら問題ない。
着替え終えそれぞれの楽器の調整、喉のウォーミングアップ。
昼からの公演の時間は刻一刻と迫って私は高揚する。
楽団メンバーのコスチュームは至ってシンプル。
青と白の単色ローブには動きやすいようスリットが入り、その下にはローブと同じ色のワイドパンツ。
レオナと私だけが違う。そして仮面を付け顔を隠すためのベールを下ろす。
ダンダダンダ!ドラムが鳴り、管楽器はbフラットで音合わせ。いよいよだ。公演は二回に分けられる。
クルトが集まってきた観客の兵士達に口上の述べ私とレオナとは左右から表舞台に立ち腰を屈め、片足をひいた礼をする。
そして音楽が始まり久々に大勢の前で歌う。最初は惹き付けるように、レオナのソプラノを支え、コーラスを活かし演奏される楽器の音を聞きながら合わせる。
一度目の公演はブランクはあったもののおおむね成功した。レオナと、クルトが率いてあの頃よりもレベルの高い音楽隊に仕上がっている。昂る心のまま、休憩を挟み二回目の公演に備える。
舞い踊り、指揮に沿って歌い続けクルトが壇上に上がればヴァイオリンの早弾き。
楽しかった。嘗ての興奮が高揚が私を突き動かす。
公演の終わりには観客である兵士達からの喝采を受け、アンコールに応え公演は大成功だった。
公演が終わった後の冷めやらぬ熱気を纏いながら喉を潤し、お互いの音に賞賛を送る。ひとつなのだ。練習から、公演、その後の昂る気持ちも。しばらくすると彼らは兵団を後にし本拠地のシーナへ向け馬車数台に分け帰っていく。
これから、シーナまでの遠い道程を帰る楽団メンバーにキース団長、分隊長クラスが公演が素晴らしかった事、感謝を込め、縁があれば、またの公演を待っているとの労いの言葉をかける。
クルトと、レオナが受け、是非また。と握手を交わす。
私とレオナ達の公演はこうして終了しレオナ達は名残惜しそうに馬車へ乗り見えなくなるまで、身を乗り出して手を振り続けた。
キース団長とエルヴィン分隊長、そしてアーリヤとしての私を知るミケ班長、ハンジさんが集まる団長室で今回の公演への参加と賞賛を受け、労をねぎらわれる。
とても質の良いシャンパンでの乾杯をして夜は過ぎていった。
