第21章 巡回公演
【親愛なる ティアナ】__________
元気にしてるかな?
僕達はいつも通り元気だ。
君が去ってからも、なかなかの評判なんだ。
それよりも困ったことないかい?
何かあっても、なくてもすぐに言ってくれ。
僕達と一緒なら、これ以上はないけど
おっと忘れてた。前に書いたこと覚えてる?
やっとそちらに行けそうだ。
念の為、君の用意もしておく。
頼まれてた物も準備できてるから楽しみに。
君の上司たちには許可を得てるよ。
近々会えるのを楽しみにしてる。
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何度やり取りしてもクルトは変わらない。
元気?変わりない?困ってないか?
まるで心配性の兄のようだ。
今回は以前から頼んでいたことのお知らせ。
憲兵団から始まってやっと、こちらまで。
我儘を言った覚えはありすぎるけど、2ヶ所に来てくれる配慮が嬉しい。
ただ、私の用意は必要ないんだけどな。
届いた手紙を引き出しに入れる。
ここに来てからも頻繁に届く手紙。
いつも楽しみにしてるけど、今回は特別に心が踊る。
「ティアナ〜いるー?」
軽いノック音がするのと同時にドアの向こうからリシナの声がする。
「いるよー。」
返事をしながらドアを開けるとリシナのニマニマした顔が見えた。
「面会、来てるよ。お茶持ってくから!」
面会?誰からも聞いてないけど。なんでリシナはニヤニヤしてるの?首を傾げると早く行けとばかりに背中を押される。
面会のお客さんが来た時は部屋近くの談話室に通される。
一体、誰だろう?思いつくのはハンジさん?
あの人なら突然、来ちゃった!なんて事も有り得る。でも今は壁外調査後だから忙しいは、ず。
誰であれ待たせるのは気が引けるので心持ち早足で談話室に入ると意外な人が私を待っていた。
「やぁ!ティアナ。驚いた?」
立ち上がって満面の笑顔で迎えてくれたのは、さっき読んだ手紙の差出人のクルトだった。
「はぇ?…クルト?」