第18章 新天地
「お待たせ!」
少し息を切らせ、急いで戻ってきたティアナは出窓に腰掛け外を見ているリヴァイの近くに寄った。
外では足が不自由なのか、杖をついて歩く男や軽そうなボールを投げ合う男達などが広場でそれぞれ動いていた。風景だけなら本部でウォーミングアップしている光景だが皆、懸命にぎこちなく運動している。
「ここはリハビリ施設だから無理ない範囲で少しづつやれる事を増やしていくの」
「そうか」
「それをほんの少しだけお手伝いするのが今の私の仕事」
「…だから何人かついてんだな」
「うん。でも基本は見守るだけ。歯がゆくなるけど一番本人が悔しいんだよね。」
しんみりした空気に突然テーブルで雑談していた患者らの一人が「ティアナ!てっきりユンカーと付き合ってんのかと思ったが、どっちが本命だ?」
バッと振り返って真っ赤になりながら、両方ともそうじゃない!と言い返している。
つまり、そう見えるほどユンカーと距離も近いのかも知れない。
「もう!そういう話題に飢えてるからって!」
俺がからかってきた男を見ると面白そうに「頑張れよ!長距離は普段が大事だぜ」と要らん世話を焼こうとする。
「リヴァイ!行こう!」
これ以上からかわれるのを止める為にか、クイッとリヴァイの袖を引っ張って談話室から出ようとする。
廊下を歩きながら何に対してか「ごめんね」とティアナは言う。
「別に」
こんな時、気の利いた一言も出てこない自分と、あの男ならと比較してしまい、柄になくウンザリした。
リハビリ施設だけあって外には街路樹やベンチ、四阿もそこそこある。
その奥に今のティアナのステージがあった。
すっかり夜になると寒いので、温かい飲み物と厚着とブランケット等の対策は必須。とやはり穏やかに笑いかけてくる。
本部と違い、ここにはベンチがあり有難いことにゆっくり座るにも困らなそうだ。
「なあ、もう少し手前の四阿の方が雨とか気にせず便利なんじゃねえのか?」
「そうなんだよね、だけど探索してたらココだって決めちゃった」
「相変わらず危機感もねえ奴だな」
「う〜。それは認める。」
「俺も居ねえんだ、自分の身は自分で何とかしろ。女だっての忘れるんじゃねえよ」
「リヴァイが言うなら、もっといい所見つけなきゃね」戯けるようにティアナは笑った。