第18章 新天地
調査兵団には生きるか死ぬかが焦点に当てられやすい。勿論怪我をし再起不能になってしまった兵士もいる。
医療に携わる部隊も他兵団よりも多く、第1医療隊、第2医療隊、第3医療隊とあり、それぞれの役割は異なる。
第1医療隊は外傷を主に担当しており、第2医療隊は疾病、第3医療は再起不能な兵士で身寄りのない、もしくは身内で世話ができない兵士達を担当とする。
壁外調査で多くの負傷者も出る調査兵団には必要不可欠な隊である。
そしてどの医療隊も医学の知識、経験が必要とされるが、ティアナにはそのどちらもない。
まっさらな状態でその場所へ飛び込むことになる。
第1医療、第2医療はその必要性から本部内にあり、離れがあってもすぐそこで、第3医療隊だけはローゼの端に近く、本部からは遠い位置にある。
ティアナは自分が医療隊に異動になるとは思っていなかったが、戦うだけが兵士だという以前の考えを覆した。
まず、ハンジと共にローゼの端の村へ立ち寄り村の様子を見回る。
その村は農業が主な産業で第3医療隊もここから食糧を購入していた。
ハンジは道中しきりにティアナに大丈夫?とか、「すぐ戻れるように私も頑張る」と言うが、どこか吹っ切れたティアナは自分が知識なくとも経験がなくとも新天地で身につけると腹を括っている。
「ハンジさん。大丈夫ですよ。私は私にできることをします。」
「不安じゃないの?」
「勿論、不安はありますよ。でも、しばらくハンジさんもいてくれますし、鍛錬だけじゃない兵士になりたいと思います」
キレイな笑顔で伝えるティアナに無理や嘘も感じられない。なら、ハンジにできることは少しの手助け。
第3医療には幸いにもチョットした知り合いもいる。
畑違いになる、これからの生活にきっと厳しくも馴染めるようにしてくれるだろう。
馬車に乗り込み、10キロ程行くと第3医療隊の大きな建物が見えてきた。
無駄な装飾も新しくもない建物。
門には大きな隊の割には1人だけの門番がいて名前、所属等を記入し、身分証明を見せると直ぐに門は開いた。
まず、案内掲示版を見て、ここの隊長兼院長に会うためにその場所を探す。
途中迷ったが、その場にいる人に聞いてたどり着いた。
今日からここが、ティアナの戦場だ。