第6章 変わらぬ愛の花言葉
「……やっぱり出てくれないな………」
放課後の教室、川原崎加賀美は電話をかけていた。数回相手にかけるが応答は無く、彼女は諦めて端末に映った写真を眺めていた。
「あの幼馴染み?」
一緒に隣にいた霜月美佳がそう言った。「うん……」と川原崎は答える。
「大久保葦歌ちゃん………」
電話をかけた相手であり、写真の中の自分と一緒に映った人物でもある彼女の名前を口に出す。川原崎は「最近色々あったから心配してるんだけど……」と不安な声で霜月に喋る。心配そうな表情の川原崎を見た霜月は顔を曇らせる。———この学園の”関わってはいけないこと”に入り込まない方がいい、そう思った霜月は川原崎と一緒に廊下を歩いている最中にこう言った。
「心配しすぎ。携帯切ってどこかで気分転換でもしてるんじゃない?」
そんな霜月の言葉に川原崎は「だといいけど……」と返した。