第1章 友達だけど
私は今日も貴方を盗み見る…バレないように。
そっと貴方を見るの…貴方とは友達だから。
「ん?どうした?」
「別に…あんたなんか見てないし、自意識過剰…」
見つめ過ぎてバレた時は女優になったかのような名演技。
「そっか…」
そう言って恥ずかしそうに笑う貴方も全てが愛しい。
こうやって、隣にいられるだけで幸せだった。
「あのさ…オレ…好きな子出来たんだよ」
ある日貴方は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑った。私は今日も女優になるの。
「そっか…よかったじゃん!!応援してる」
笑顔でそう答えた。
でもね、そんなのもうとっくに知ってるよ…貴方の視線の先にはいつもあの子がいたから。
「お前も、早く好きな人くらい見つけろよ!!」
好きな人は…貴方だよ…心の中でそう思った。
「うん…そうだね」
私は泣きそうなのを我慢しながらそう答えるので精一杯だった。
「どうした?」
「ううんっなんでもない…じゃあ私行くね…」
私はその場を早足で去る。
明日から、明日からまた演技がんばるから…だからまだ側にいさせて欲しい。
涙が頬を伝う…そう願わずにはいられなかった。
【end】