第2章 変わりなんかじゃない(伊黒小芭内) *
『師範!師範!嫌だ!ねえ、師範!!』
「甘露寺!!!しっかりしろ!」
「…飛鳥ちゃん…大丈夫…?
あぁ良かったぁ…無事だったんだね…」
『師範っ!なんで私なんかを
庇ったんですか!!!!!
嫌ですよ、しっかりしてください!
ずっと一緒にいてくれるって
約束したじゃないですかっ…
ひとりぼっちにしないでくださいよ…』
「…伊黒さん…無惨は…?」
「…消滅した。もう鬼は消えたんだ。
甘露寺…頼む…もう喋らないでくれ…」
「…私、もうすぐ死ぬみたい。
何にも痛みを感じないの…」
『師範、もうすぐ隠が来るから…
だから頑張ってください!
お願いだから死なないでっ…』
「…飛鳥ちゃん…私は継子が貴女で
本当に良かったわ。
毎日楽しかった…本当の姉妹みたく
慕ってくれて嬉しかった…大好きよ…
伊黒さん、貴方と出逢えて良かった…
いつも…優しい眼差しで見守ってくれてて
本当にありがとう…
…飛鳥ちゃんのこと…よろしくね…」
「恋柱様ッ…!!!」
隠が到着するも…
「…息を…していません。脈もとれない…」
『う…うわああああああああああっ…』
師範が死んだ。
私を守ったばかりに…
私が…私が師範を殺したんだ。
私は自分の刀を自身に向けた。
「東雲さんっ…!!」
そのとき刀が私の元から離れていった。
それと同時に頬に痛みが。