第1章 この気持ち (時透無一郎) *
とある日、彼に出会った。
「時透無一郎です。本日付で霞柱に昇格しました。
精一杯頑張るのでよろしくお願いします。」
ドクン…
心臓の鼓動が急に早くなった。
まわりの鬼殺隊員たちは何やらザワザワしていたけど私は心臓が煩くて話に入っていけなかった。
ドクンドクンドクン…
これがいわゆる"一目惚れ"というものなのだろうか。
今まで運動ばかりだった私は恋愛なんて一度もしたことがない。
だから初めてのことで混乱している。
「ねぇねぇ飛鳥。
彼、鬼殺隊になって2ヶ月で柱になったらしいよ!」
話し掛けてきたのは同期の葵さくら。
『へ、へぇ…ってえ!2ヶ月?!』
「凄いよね〜しかもまだ14歳。」
『14歳、、、』
私より5つも下だ。なのにとても大人びている。
なんというか…普通の男の子とは違う雰囲気。
なんだろう…この感じ。
「私たちなんて8ヶ月もいるのにさー私はまだ辛だし。
あ、でも飛鳥は乙だもんね…それも十分凄いわ」
『いや、師範のお陰だよ!!』
「あぁ、いいよね冨岡さん。厳しいけど、ちゃんと稽古してくれるみたいじゃん。
伊黒さんなんてすぐどっか行っちゃうし…まぁ私の実力不足もあるんだろうけど…」
シュンとするさくら。
『そんなことない!さくらが頑張ってるのは私がよーく知ってる!』
大きな声で言ってしまったためみんな一斉に私の方を振り向く。
『す、すみません…』と一言。
霞柱様が、冷ややかな目でこっちを見ていた。
(最悪、、、。)
それがショックでそのあとの話しなんて耳に入ってこなかった。