第8章 キレイナモノ(時透無一郎)*
「そもそも飛鳥は無用心なんだよ、
いつもいつも…
いきなり抱きついてきたり
目の前で寝たり
服だってはだけてるときあったよ。
一つ屋根の下で、
何も感じない訳ないじゃん。
何度も言うけど、僕だって男だよ?
まぁ、飛鳥はそう思ってなかった
みたいだけどさ…」
『…無一郎さん、ごめんなさい…』
「もういいよ、今更だし。
それに言葉だけだとすぐに
忘れちゃうでしょ?
それなら身体にちゃんと
教えてあげなきゃね。」
クスっと笑う無一郎。だがその目は全く笑っていない。
飛鳥が大好きな、綺麗な浅葱色の目が今は恐怖でしかない。
『…無一郎さん…じょ、冗談ですよね?
私がふざけ過ぎたから、
その仕返しでしょう…?
全然笑えないですから、
もうやめましょうよ…!』
「冗談でこんなことしないよ。
んー、まぁ、今まで散々
僕の気持ちも知らず
子供扱いしてくれたから
その仕返しはするけどね。」
『お願いします!待ってください…
私の話しも聞いて……』