第20章 2人の世界(第二部終)
「ジャミル聞いて。私、ジャミルを愛してる」
ジャミルが目を見開く。
「私、あなたの恋人になれたと思っていたけど、根っこの方は変われてなかったみたい。前と同じように、見るだけだったり、言わなくてもいいかって、自分に閉じ籠ったり。……ちゃんと言葉で伝えてなかった」
また涙が溢れてくるけれど、話すのは止めない。
「最近、それじゃダメかもしれないって思ってたわ。やっぱりダメだった。私自身不安になったし、あなたも不安にさせてしまった」
ああ、伝わればいいのだけれど。
「これからは、ちゃんと言うわ。あなたの言葉も沢山聞きたい。……だから、ねえ、お願い……これからも、そばにいて……っ」
縋るように、乞い願う。
しばしの間をおいて、
「アーヤ、愛してる」
返す言葉。彼の声。
「きっと俺の方が重い。それでも、いいか」
コクコクと首を縦に振る。
「アーヤの言葉が聞きたい。思っていることが聞きたい。前にも言っただろう?遠慮しなくていいって」
ーーー俺ばかり、アーヤを求めてるんじゃないかと思ってた。俺は、俺が求めるように、アーヤにも求めてほしい。
耳元で、吐息のようにかかる言葉にめまいがする。
「アーヤから来るのを待ってた。すぐにできないことがあってもいい。ゆっくりでもいいんだ。これからも待ってるから」
ああ、この人は
「だから、隣まで来てほしい」
どこまでも甘くて、優しくて、それでいて離してくれない。
「ええ……必ず」
気付けば外は真っ暗だった。音の無い世界になってもなお、2人はずっと抱き合っていた。
ジャミルがベッドに倒れ来む。
「ジャミル?」
「疲れた。寝る」
「え、ちょっと待ってここで?……ねえ……!?」
いそいそと布団に潜り込んできた。
「俺だって、昨日あまり寝れてない中で侵入者に対応して、処理して、授業にもでたんだ。もうここで寝る」
「ちょ……。……」
説得を諦めて、ふうと息を吐く。
「ああ、でもそうだな」
腕を引かれてキスされた。
「は……っ…………ぅん……」
今度は、深く長く。舌先から流し込まれた唾液をコクンと飲み込むと
「まだ上書きが、足りなかった」
彼はうっそりと笑った。