第2章 GF ハウス
Emma-side
「コニー?」
門へと走ってきた私とノーマン
初めて入る門の中
そこにあったのはたった1台の"車"というもの
ノーマンは車の運転席を見て小声で言った
「車の中にはいないよ」
見たところまわりにも誰もいない
コニーに直接渡したかったけどいないんなら仕方ないよね
「荷台に載せておけばわかるかな」
手に持っていたリトルバーニーを荷台に載せようと掛かっている天幕を少しめくる
そこにいたのは何かの液体に浸っていて胸に知らない花が刺さっている
私たちのかわいい妹の"コニー"だった
驚き過ぎてようやく出た言葉でノーマンを呼ぶ
手に持っていたリトルバーニーもいつの間にか落ちていた
二人で目の前の出来事に驚き声も出ない
「誰かいるのか」
「「!」」
そこで私たちはようやく現実に戻りトラックの下に隠れる
何者かが開いた扉からこちらに来るのがわかる
「オイ今声がしなかったか?」
「気のせいだろ」
「チッ野良猫なら食ったのに」
「ゲッ· · ·お前猫なんか食うのかよ」
私たちは見つからない程度にトラックの下から覗き見る
────なに?
そいつらは荷台にいたコニーを持ち上げた
「旨そうだなァ。やっぱり人間の肉が1番だ」
なに!?なんなの!?
こいつらがコニーを!?
ドクン、ドクン
自分でも分かるほど心臓がどくどくしている
なんだ
食べる?人間を?
人型の怪物、まるで
「人食鬼· · ·」
私の脳裏を過ぎるのは今朝のやり取り、そして昔読んだ本に書かれていた鬼
謎のビンにコニーを入れていく鬼たち
『門と森の奥の柵へは危ないから近寄ってはダメよ』
ママはこれを· · ·
ママは!?ママは無事!?
「クソっ指の先だけでもダメかなァ」
「馬鹿、大事な商品だぞ。俺達ごときに手の届く代物じゃない。この農園の人肉は全部金持ち向けの高級品なんだぜ」
農園?人肉?
わたしは自分の手に目をやる
────"肉"?
『どうかな· · ·服』
『元気でね』
『また先を越されちゃったね』
『外に出たら何がしたい?』
────嘘
私たちはずっと食べられるために生きてきたの?
ガチャ
また新たな扉が開く音が聞こえた