• テキストサイズ

手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第17章 新しい始まり《主人公目線》


キッチンで、晩御飯を作っていると、玄関の扉が開く音がした。

「ただいま」


津軽さんが帰って来た。


「おかえりなさい!」


「いい匂いだね?今日の晩御飯はなんなの?」


「今日は、秋刀魚の塩焼きと茶碗蒸しと南瓜の煮物とサラダです」


「たくさん作ってくれてありがと」


そう言うと、津軽さんは、チュッとおとを立ててわたしの唇にキスをした。


不意打ちのキスに、心臓が跳ね上がる。


「明日は、俺達の結婚記念日だね?君と行きたい所があるんだ」


わたし達結婚して、もう一年も経つのか......。


酷く不思議な気持ちだった。


「俺達が、初めてデートした場所覚えてる?」


「あの公園ですか?」


「あぁ、あの公園は、何回も行ったよな。俺が言ってるのは、テラスでデザート食べた展望レストランだよ。覚えてる?」


「もちろんです!津軽さん!」


「君さ、いつになったら、高臣って呼べるようになんのよ?君だって今は、津軽さんでしょ?」


津軽さんは、くすくす笑いながら言った。


自分が津軽さんになった事に、正直まだ現実味を感じない。


「高臣って呼んでみてよ」


「高臣さん....」


「はい。上手に言えました、僕の奥さんの瑠璃子さん」


津軽さんは、優しく笑いながら、わたしに小さな袋を渡した。


「これは?」


「結婚記念日のプレゼントだよ。開けてごらん」


袋の中には、美しくラッピングされたパステルカラーの水色のネックレスケースが入っていた。


ネックレスケースを開けると、三日月の上にちょこんとウサギが乗っている小さなペンダントトップの可愛らしいネックレスが入っている。


「わぁ!可愛い!」


「結婚記念日のプレゼントだよ、俺の周りだけを飛び回るウーサちゃん」


「こんな可愛いウサギのネックレスあるんですね?」


「気に入った?」


「勿論です!津軽さん!、ありがとうございます!」


「こら、また津軽さんって言った。高臣さんでしょ?」


津軽さんは、わたしの鼻をキュッと摘んでとても優しく笑いながら言った。


今日の津軽さんは、とても優しくて、カッコイイ。


そして、夕暮れのオレンジ色の光りの中で、津軽さんはどこまでも幸せそうに笑っている。


「瑠璃子愛しているよ、ずっと俺の傍にいろよ」
/ 66ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp