第16章 新しい始まり 《津軽目線》
俺は、コースケに借りたバイクの後ろに瑠璃子を乗せて、いつか彼女と初めてバイクで行った海へ向かった。
俺の背中にぎゅっとしがみついた俺の愛しい女と、俺がやんちゃして馬鹿をしてた頃の気分に戻って、思い切りはしゃいでみたくなった。
「瑠璃子君が愛しい。俺から離れんなよ」
俺は、バイクを走らせながら、彼女に言った。
強く吹き付ける風が、俺の声をかき消す。
俺のお腹に回された瑠璃子の腕にぎゅっと力が入った。
それは、聞こえてない筈の俺の言葉を、まるで彼女も俺と同じ気持ちを共有しているという合図のように。