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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第16章 新しい始まり 《津軽目線》


柔らかな朝の日差しの中目覚めると、俺の腕の中で瑠璃子が、あどけない顔ですやすやと眠っていた。


こんな朝が、この子と迎えれる日が来た事に現実味が湧かずに、彼女の存在を確かめようと、彼女の柔らかい頬を手のひらでそっと撫でた。
彼女の眉毛が俺の好きなハの字を描いて下がり、睫毛が僅かに震える。


「んっ......」


瑠璃子の瞼が、ゆっくりと開く。


焦点があわない様に瞬きを何度かした彼女の瞳が俺の瞳を捉えた。


彼女は、俺を見つめると、照れくさい様な困った顔をして、俺から視線を外して、俯いた。


俺は、今からでも、もう一度彼女を抱きたい衝動をぐっと抑えて、瑠璃子の華奢な身体をぎゅっと抱き締めた。


「苦しいです。津軽さん....」


瑠璃子が、恥ずかしそうに俺の腕の中で言った。


「今日、俺達休みだから」


「え?」


昨晩、俺は、彼女がシャワーを使ってる間に、モモに連絡をして、公休を取る手配を済ませていた。


「今日は、久しぶりに二人でゆっくり過ごそう、ウサちゃん」


「大丈夫なんですか?」


仕事に真面目な、彼女は今日の公休に驚いている。


「命懸けで任務完了させたし、大丈夫だよ、明日からは、またしばらく休み取れないだろうし」


「あの......津軽さん、ちょっとわたし....」


瑠璃子が、俺の腕から抜け出そうとした。彼女は、どうやら自分が、裸のままでいる事が恥ずかしいようで、ゴソゴソと、俺が貸したTシャツを探している。


「駄目、まだ、このままでいて」


俺は、そう言って彼女の首筋に唇を落とす。
彼女の柔らかい頬が真っ赤に染まってゆく。


ずっと、この子が俺の物になる日を夢見ていた。
そして、今それが、現実となった。


俺はこれから、瑠璃子が、愛し続けていける様な男でいられるのだろうか。
俺は、彼女の日常の中で、彼女がいつも笑っていられるような、そんな存在でいられるのだろうか。
そんな事を考えていると、彼女が言った、


「嬉しかったです。津軽さん....その、津軽さんとこんな風になれて」


彼女は、恥ずかしそうに、だけどしっかりした口調で言った。


あぁ..、俺は、今もまた、この子に救われた。




(ああ、君が愛しい..愛しいよ瑠璃子..)
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