第13章 思い出のあの公園 《主人公目線 》※補足
わたし達は、修行施設を脱出して、津軽さんと林道に停めてあった面パトに乗り込んだ。
まさか、津軽さんが、あの施設に助けに来てくれるとは、思って居なかった。
「瑠璃子、怪我はない?」
津軽さんは、イヤモニを自分の耳から、無造作に抜き取って、
ダッシュボードに放り込んだ。
「大丈夫です。津軽さんこそ大丈夫ですか?」
「俺は、大丈夫」
わたしが、事件の状況を聞くと、津軽さんが、今までの流れを説明してくれた。
百瀬さんは、情報提供者と共に、修行施設内のコンテナに監禁されてた様だが、自力で、情報提供者と、脱出していた。
教祖新垣と元財務大臣の木内も逮捕されたらしい。
津軽さんは、大きな溜息をついた後、
「危険な任務に行かせて、悪かった」
と言った。
津軽さんは、また、わたしを命懸けで助けに来てくれた。
テロの阻止もあったと、津軽さんは言った。
でも、既に、わたしが、あのパスワードを入力する事が、テロ決行の合図となる事を突き止めていたのなら、わたしが、パスワードを入力したとしても、わたし一人の殉職で、テロの阻止の方法は、あった筈だ。
津軽さんは、わたしを救う為だけに、来たのだ。
そして、公安課の人達も、それを理解していた筈だ。
津軽さんは、わたしとの殉職も覚悟して居たのだろう。
(津軽さん、また、貴方はわたしと死ぬ事を厭わなかったんですね。あの、観覧車の、わたしの救出の時のように......)
危険な任務に行かせて悪かったって、津軽さんは言ったけれども、誰よりも、危険を侵して、わたしを救出しようとした津軽さんが、一番危なかったのだ。
「良かったです......」
その時、わたしの口からは、それだけの言葉しか出なかった。
津軽さんは、わたしが、事件の解決について言ったと勘違いしていた。
「まだまだ、事件は、完全解決では、ないけどね......」
「いえ、わたしは、津軽さんが、生きててくれて、良かったって言ったんです!!」
思わず、わたしは、目の前の、わたしの為に、すぐに命を捨てようとする愛する人に言った。
(やっぱり、わたし、貴方を、諦めたりしません!!)
「わたし、この任務に成功したら、津軽さんにもう一度、津軽さんを諦めたくないって伝えるつもりだったんです!!」