第6章 思い出の公園 〈主人公目線〉
わたしは、マンションの部屋に戻ると、一気に力が抜けて、ソファにへたりこんだ。
これで、良かったの?
これで、津軽さんは、楽になったのだろうか?
津軽さんが、わたしとの関係を終わらせたのは、わたしを思っての事?
それも、当然あるだろう。
でも、津軽さんは、日頃、自信満々でおちゃらけてるけども、内面は、決してそうではない。
壊れやすい、繊細な気持ちを津軽さんが持ち合わせている事をわたしは、知っている。
津軽さんが、色んな事から、もし逃げて、この決断をしたと言うのなら、この事は、後々までも、津軽さんの痛みとして引きずって行くのではないか?
わたしやっぱり津軽さんを諦めたくない!
自分が津軽さんに必要だなんて烏滸がましくて、言えないけど、
今、津軽さんを一人にしてはいけないと思った。
わたしは、慌てて、バックを持ってマンションの下に降りて、大通りでタクシーを拾うと、警察庁へ向かった。
(津軽さん!公安課に居てください!)
警察庁の下に着くと、わたしは、タクシーの乗務員にお金を払って急いで、庁内に入ると、公安課ルームへ向かった。
津軽さんは、本当に居るだろうか?
公安課ルームのドアを開けると、津軽さんが自分のデスクの上に足を乗せて、ぼーっと座っているのが、見えた。
「津軽さん!」
思わずわたしは、叫んでいた。
津軽さんは、ビクッとして、わたしの方を見た。
わたしが、津軽さんの傍に駆け付けると、
津軽さんは、言った。 -
「ウサちゃん、何しに来た?」
「津軽さん!わたし津軽さんを諦めたくないです!
こんな形で、津軽さんとお別れするのは嫌です!」
「じゃあ、何故俺が、終わらせようって言ったか理由分かって言ってる?」
「だいたいの察しは付いてます。わたしだって公安刑事なんです。
それなりの覚悟は、してます!津軽さん、わたしを大好きって言ってくれましたよね?じゃあ、津軽さんもわたしを諦めないで下さい」
「いいよ。分かったよ、じゃあ、今日は、俺の部屋に泊まってよ。その意味分かるよね?」
「分かりました。行きます。だから、津軽さん一緒に帰って下さい!」
津軽さんはわたしの顔をじっと見つめた。
「後悔しても、知らないよ。良いんだよね?」
「後悔なんか、しません!」
津軽さんは、黙って椅子から立ち上がった。
「ここ片付けて行くから、下の駐車場で待ってて」