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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第7章 初めての夜 〈主人公目線」


警察庁の駐車場で待ってると、津軽さんは、直ぐに降りてきた。
そして、車に乗り込むと、わたしを助手席に乗せて、マンションへ向かった。

わたし、今日津軽さんと結ばれるのか。
初めてのデートの日に、初めての夜を迎える事に抵抗がなかった訳ではない。
でも、それでも、津軽さんの傍に居たい気持ちが勝っていた。

マンションに着くと、わたしは、津軽さんの後に付いて、津軽さんの部屋へ行った。

「喉乾いてない?勝手に冷蔵庫開けて何でも飲んでいいから、俺はシャワー浴びて来る」

津軽さんは、感情の読めない顔をして言うと、バスルームへ行った。

一人取り残されたわたしは、今夜は、お互い痛みの伴う様な夜になるのだろうと、漠然と考えていた。

(そう言えば、昔酔って、津軽さんの部屋に泊めて貰った事あったよな)

なんだか、あの頃が随分遠い昔の様に感じる。

津軽さんは、色んな闇を抱えている。
それは、私には、到底理解が及ばない様な心を抉られる様な闇だった。
そんな津軽さんを立ち直らせたのは、銀室長だった。
津軽さんが、いざとなれば、わたしよりも、銀室長を取るのも分かっている。
それでも、今の津軽さんをどうしても一人には、したくなかった。

わたしが、津軽さんの部屋のリビングのソファーに座って、ただただ、思い浮かぶまま思考を巡らせていると、バスルームのドアが開く音がして、バスタオルを腰に巻いただけの津軽さんがリビングに入って来た。
相変わらず、津軽さんは、感情が読めない声で言った。

「君も、シャワー浴びておいでよ。バスタオルは、洗面台の横のキャビネットにあるから」

わたしがソファーから立ち上がってバスルームへ行こうとすると、
津軽さんにいきなり、ソファーに押し倒された。

そして、津軽さんは、わたしを組み敷くと、わたしに噛み付く様なキスをして来た。
津軽さんの右手がわたしのブラウスのボタンを一つづつ荒い手付きで外すと、津軽さんは、はだけたわたしの素肌に舌を這わせた。
わたしは、思わず、津軽さんの頬を思いっきり叩いていた。


「こういう事なんだよ。帰れ!」


わたしは、溢れる涙を止める事も出来ずに、津軽さんの部屋から飛び出していた。
どうやって自分の部屋に入ったかも覚えていない。

わたしは、床にへたりこんだ。

津軽さんは、もう、わたしを受け入れる気などないのだ。
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