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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第6章 思い出の公園 〈主人公目線〉


わたしとのキスが終わると、ベンチから 立ち上がる前にわたしの髪に手を伸ばして、整えてくれた。

「ウサちゃんが、折角綺麗に可愛くカールしてたのに、風がウサちゃんの髪型めちゃくちゃにしちゃったね」

そして、わたしの髪を触った後、わたしを見つめて

「瑠璃子凄く可愛いよ」

と言った。本当にそう思っているのが、伝わって来るような優しい顔をして津軽さんは、言った。

もう、津軽さんは、わたしを茶化さないで本音だけを言ってくれている。
本当なら、嬉しく感じるところなのに、寂しくしか、わたしには、どうしても感じられなかった。

津軽さんは、立ち上がるとまた、優しく右手を差し出した。
わたしが津軽さんの手を取ると、また、指先でずっと、わたしの手の甲を撫でてくれている。

津軽さんとわたしは、綺麗な夏の花が咲き乱れる中をゆっくり散歩した。

綺麗なお花畑を、誰が見ても、イケメンでモテモテの津軽さんと手を繋いで歩いてる。

でも、最後のデートなのだ。
こんなデートは、もう二度と出来ない。

だけども、横を歩く津軽さんの横顔からは、色濃く疲れが滲み出ている。

「津軽さん、わたしもう大丈夫です!津軽さん帰りましょう!
ありがとうございました!また、月曜日から、津軽班で頑張りますので、よろしくお願いします!」

わたしは、津軽さんに深々と頭を下げた。

「分かった」

津軽さんは、それだけ言うと、わたしの手をぎゅっと握って、わたしを引き寄せると
自分の腕の中に閉じ込めた。
津軽さんは、しばらく、わたしを抱き締めた後、わたしの手を引いて、公園の駐車場まで、ゆっくり歩いて行った。

帰りの車の中で、わたし達は一言も言葉を交わす事はなかった。


車がマンションの前に着くと、津軽さんは車から降りずに言った。

「俺ちょっと、公安課に用事あるから、ウサちゃん降りていいよ。
今日は、ありがとう。じゃあまた、月曜日に」

そう言って、津軽さんは、前だけを見て、車を出した。

こんな事になるなら、津軽さんにずっと片思いしてた時の方が良かった。










(津軽さん、なんで、わたしを好きになったんですか?)




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