第5章 思い出の公園へ〈主人公目線・津軽目線〉
もう止めよ!
だって、今日は初めて想いが通じ合っての津軽さんとのデート。
次にいつ、一緒の公休が取れるか分からない。
デートすら、ゆっくり出来ないのが、わたし達公安刑事なのだから。
今日のデートをわたしは、思いっきり楽しむぞ!
そう決めると、横を歩く津軽さんのイケメンブリにドキドキまた急にし始める。
駐車場に着くと、津軽さんは、大事そうにお弁当の箱の入ったバックを、後部座席に倒れない様に固定させて置いていた。
「ぼーっとしてないで、ウサちゃん 車乗って、少し飛ばすよ。
お昼ご飯が、公園で食べれる様に」
「はい!」
「ウサちゃんって、何時も元気に返事する子だよね」
津軽さんが車のキーまわして、エンジンを掛けながら言った。
「そういう所好きだよ。ウーサちゃん」
津軽さんが、あまりにも素直に笑いながら言うので、わたしは、また、ドキドキとして、なんて答えればいいか分からずにいた。
「あのさ。ウサちゃん、海見たくない?あの公園に行く前に 遠回りすれば、海岸線を走れるコースあるんだよ」
津軽さんは、駐車場から滑る様に車を出して、道路に入ると、前を向いたまま言った。
そうだ。津軽さんって、こんな風に何時だって、女の子が喜びそうな事を前もって調べて、さりげなくスマートにやれる人だよね。
わたしの心に、また 津軽さんとの通路でのキスが思い浮かんだ。
わたしが、黙っているので、心配した様に津軽さんが言った。
「ウサちゃん、お弁当作りで、早起きして眠いのなら、シート倒して寝なよ。海が見えだしたら、起こすから」
「いえ、大丈夫です!」
津軽さんは、ちらっとわたしを見て、また前を向くと、車内にお洒落な洋楽が流れ出した。
超イケメンのお洒落な津軽さんにお似合いの曲。
こんな曲がお似合いの、超イケメンの津軽さんがわたしを好きだなんて、本当に嘘みたい。
津軽さんは、眠そうに、大きな欠伸を何度か、噛み殺しながら言った。
「ウサちゃん、悪い。コンビニ寄るよ。なんか欲しい物ある?買って来るけど」
「大丈夫です!」
「了解」
津軽さんは、ウィンカーを出して左にハンドルを切ると、コンビニの駐車場に入った。
そして、わたしを車内に残すとコンビニで何かを買って飲んで、ゴミ箱に捨てると、車に戻って来た。
津軽さんは、多分眠気止めを飲んだと思った。