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手のひらの虹 【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第5章 思い出の公園へ〈主人公目線・津軽目線〉


マンションに着いた俺は、スーツを脱ぎ捨てて、バスルームへ飛び込んだ。

早くシャワーを浴びたくて仕方ない。
自分の身体に染み付いた、Aホテルのソープの匂い部屋の匂い、女の香水が入り交じった匂いがやけに鼻に付いて頭が痛くなりそうだった。

それに、消せる訳もないけど、あの女を抱いた俺の身体を清めたかった。少しでも、出来る事なら。

シャワーのお湯を頭から被りながら、俺は、身体中をガシガシと
洗った。
それから、シャワーを浴びながら、貯めた湯船に浸かる。

熱めのお湯が、疲労の溜まった俺の身体に心地良い。
そして、自分の身体の匂いが何時もの俺自身の慣れ親しんだ匂いに
変わった事が俺を深く安堵させてくれた。

バスルームを出た俺がリビングの時計を見ると、時刻は9:58分になっている。

身体は、徹夜でフラフラしてる筈なのに、ウサと後30分くらいで会えると思うと、気力が身体にみなぎっている。

俺の強壮剤かよ、瑠璃子は、俺は苦笑しながら、クローゼットを開けて、デート用の洋服を選ぶ。
いかにも、ウサが好きそうな、爽やか系の服を選んだ俺は、慌てて着ると、お気に入りのコロンを少しだけ着けた。

頭をドライヤーで乾かして、デート用の髪型にセットした。

腕にした時計を確認すると、10:11分になっている。
後、19分でウサに会える。
そして、あいつが行きたがっていた、俺達が気持ちを確認し合った日の思い出の公園にウサを連れて行けるのだ。

あの公園に着いたウサは、どんな顔をするのか、想像しただけで、胸が高鳴る。

俺だってこの歳だ。女好みの顔をしているお陰で、恋愛経験値は高い筈なのに、だからこそ、俺はそれを公安刑事としてのハニトラに生かして上手くいけてたのも事実だったのに、こんな冷静さを欠いた恋愛を俺は、かつて、した事があったのだろうか?

思い出す事すら出来ない。

俺が、ウサにハニトラにかけられたみたいに...。

どうでもいい事を考えながら、マンションの部屋を出た俺は、ウサを駐車場で待つ事すら出来ずに、ウサの部屋のチャイムを押した。

ウサは、直ぐにドアを開けると俺の顔を見て頬をぱっと赤く染めた。

(ああ、そうなんだよ!俺が見たかった顔は!こうゆう反応を示す恋愛慣れしてないウサ独特の顔が見たかったんだよ!)

瑠璃子を思い切り抱き締めたい!

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