第6章 奇妙なお留守番
『政宗、家康。城とを頼むぞ。』
『はっ。』
『お任せください。』
の体調は、八割ほど良くなった。
それを確認して、信長様と秀吉さん、光秀さん、三成が揃って精鋭の家臣と共に堺に視察に出掛ける。
今は、その見送りの朝。
「無事に… お帰りくださいね。みんなも、怪我しないでよ?」
『戦じゃないんだぞ? 。 長く見繕っても五日。早く戻るつもりでいる。大丈夫だ。
俺も、光秀、三成、みんなで行くんだぞ? 大丈夫だ。』
『あぁ、秀吉がしっかり勤めるからな。』
『光秀、お前は!』
「喧嘩…しちゃだめだよ?」
『私がお二人の間を円満に取り持ちますね。』
『…はぁ。無理でしょ。三成、余計に訳がわからなくなるだけ。』
「信長様、これ。」
は、信長様に小さな包みを渡した。
『なんだ、これは?』
「…金平糖。」
『はぁ? おい、!』
「道中のおやつです。疲れたら少しずつ食べてくださいね。少しずつだから、いいでしょ? 秀吉さん。」
『…少しずつですからね。』
『、良くやったぞ。大事に食う事にする。』
「…はい。」
は、ふぅ。と息を吐いた。
『何、目眩でもする?』
紅らむ顔が見えて、声をかけた。
「あ、家康。違うの。よし!」
『『は?』』
「腕輪見せてください。」
は、ちょっと震えたような声で四人に声をかけた。途端に記憶がよみがえる。
政宗さんを、ちらりと見ると同じ様に思い出しているようでニヤリと笑っていた。
信長様と秀吉さん、光秀さん、三成が左手を出した。
紅、緑、白、紫の腕輪が現れた。
「無事に帰って来るように、おまじない。」
そう言うと、は信長様以外の三人の腕輪に口付けた。
なんか恥ずかしい。
あれをやってもらって、見られてたなんて…
恥ずかしい。
『…俺には、ないのか?』
残された信長様がに声をかけた。
「ちゃんとしますよ…。ふぅ。」
また、一息吐いた。何かやる気だ…。
は、信長様の腕輪に口づけた。
ふっと、満足そうに信長様が笑う。
その時。
グイッ!
は、信長様の襟元を強引に引寄せた。
そして、信長様に口づけた。