第4章 典医と友人の見立て
『堺の視察は、がこのような状況なら延期するべきだろうな。』
低い声で信長が話し出した。
すると信長の手をぎゅっと握り、が話し出した。
「視察、行ってきてください。戦ではないし、三日ほどでしょう? 家康と政宗とゆっくりお留守番してますから。
今、堺に視察に行くことが、信長様の大望に繋がるなら、やめないでください。」
『貴様…』
『大丈夫か?』
「秀吉さん、大丈夫。二人がいるもん。」
『さん、俺も会いに来るよ。』
「佐助くん。ありがとう!」
『では、目的を果たし早々に戻るとしよう。
、貴様はこのまま天守にて過ごせ。
咲、支度を頼む。』
『、今日は針仕事は駄目だよ。』
『粥とか食べたくなったら言えよ。』
信長はゆっくりを横抱きにすると、立ち上がり天守に向かおうとした。
『佐助、。』
『はっ。』
『が世話になった。だが、…。』
『はい。俺は、さんに会いに来ただけです。なにも聞いていません。』
『ならば、よい。政宗。次に佐助が来たら、梅干しを持たせてやれ。』
『御意。』
信長とは、ゆっくりと天守に向かっていった。
佐助も、武将達に頭を下げると煙のように姿を消し、武将達が残された。
『余計なことを言った家臣、探さねばな。』
『噂もすべて消してしまいましょう。』
『あぁ、軍議が再開する前にな。』
残された五人は一瞬視線を合わせると、足早に散っていった。