第18章 雲間から望む
「わぁ!」
『うぉ、おい、秀吉!お前!』
『秀吉さん、の傷にさわります!』
『秀吉公、飲み過ぎだし、刺激の強い話だったんだな…』
『秀吉様!どうされたのですか!』
『秀吉…、貴様、。』
『兄様、御戯れが過ぎるぞ。』
秀吉の突然の奇行に、六人が驚き焦り出し、引き剥がそうと立ち上がった。
抱き締めた体を引き離しながら、秀吉はの右肩を撫でて話始める。
『良かったなぁ、良かったよ。助かって。
。お前が御館様の側にいないと産まれてこないんだ。俺達だって帰る場所が無くなってしまう。
いつの間にか、が俺達には不可欠なんだ。
良かった、よっ、良かっ、た…』
話終わる瞬間、またを抱き締めようとする秀吉を家康と三成が引き剥がす。
『秀吉さん、ほんとに傷にさわるから。』
『戻りましょう。』
『見ろ、。三成が秀吉の世話を焼いてる。』
「ほんとだぁ。
…秀吉さん。ありがとう。大丈夫だから。安心してね。」
『…くっ。家康、離せ!俺は御館様の側に行くんだ!』
『来なくてよい。』
『だそうですよ。』
『だめだっ!俺は話足りないんだ!』
がばっ、っと家康と三成の手を振りほどくと、秀吉は信長の側で酌を始めた。
『あぁー。』
『、家康の方にに座布団移動するぞ。』
『俺も混ぜてもらおう。』
光秀は、秀吉に酌の相手を譲るように席を離れた。
『貴様らっ!』
信長は、苦い顔をして泣き上戸になる秀吉の酌を受け始める。
『さあ、ゆっくり食べよう。』
「佐助くんも、すすんでる?」
『あぁ、頂いてる。楽しい夜だよ。』
「謙信様や信玄様、幸にも、また会いたいな。」
『あぁ、もう少しさんの体調が落ち着いたら皆でお邪魔するよ。』
『、俺達もいるだろ?』
「ふふっ、そうだね。
優しい魔王の信長様、世話焼きの秀吉さん。
意地悪な光秀さんに、料理上手な政宗。
天の邪鬼な典医の家康と、笑顔が素敵な三成くん。
みんな大好きだよっ!」
の一言に、一瞬時が止まった。
その場の全員が彼女を見て、太陽の様な笑顔に見惚れ、胸を熱くなる。
『…お前が来て、良かった。』
時を進ませるように呟き、頭を撫でたのは光秀だった。