第3章 招かれた厄災
真喩が案内した場所は、とある踏切。白い柵には菊の花が供えてあった。
「先日、ちょっと気になる絵馬が奉納されましたので調べてみましたら、すでに二人も亡くなってるそうです。」
やや俯きながら話す真喩に神流の鋭い目が踏切に向けられる。
「何でそんなこと…」
「このあたりはよく時気ます。よってきた妖に取りつかれ魔が差すのでしょう。お心を痛められた道真様も、ここに結界を張るなどなさったのですが…人は、魔をうちに秘めたまま出入りするので完全な浄化は難しくて。……尊い命なのに、もったいないですよね。」
「では、その人に取りつく妖を退治すればいいんですね?」
「はい。」
「ひより?」
先に話を進めていくひよりに声をかけると、いつにもまして厳しい顔つきのひよりがそこにいた。
「人が亡くなってるんですよ。何とかしたいと思いませんか!」
「死にたいやつは死ねばいい。」