第14章 二人の距離
「この距離を…もっと縮めたいって、思っちゃいました…」
未来と元就の間にある距離
それは、手を伸ばせばすぐに触れられる距離なのに、どこまでも遠くに感じてしまう
「…それも、同情からか?」
「…分かりません。ただ…こんなに近くにいるあなたが…すごく遠くに感じて…、歯痒いです.…」
どうして未来がそんなことを言うのか、元就には分からない
それでも、そんな未来に衝動的に触れたいと元就は思った
それと同時に自然と手が伸び、未来の頬に触れた
「……っ!?」
息を飲み、目を丸くする未来を眺める元就は複雑な顔をしていた
「ど、どうしたんですか…っ?」
突然元就から触れられ、未来の声がうわずった
そして、また拒絶されるのが怖くて、顔を逸らして元就の手から離れようとする未来
そんな未来に優しい声が届く
「逃げるなよ」
「いやいや、だって…っ!」
未来が離れていかないよう、その腕を軽く引いた
驚く未来は元就の方へ振り向くと、さっきよりもすぐ近くに元就の顔があり、未来は呼吸を止めた
「……っ!」
「大人しくしてろ」
「…気持ち悪く、ないですか…?」
「ああ…。それよりも…お前に触りてェと思う気持ちが上回ってる…。意味がわかんねェな」
未来の腕を掴んでいる逆の手で、もう一度未来の頬へ触れる元就
「ふっ…。これでもまだ遠くに感じるか?」