第12章 芽生えた感情
御殿の廊下を小走りで正面玄関へ急いで向かっていると、突然後ろから腕を引かれた
「未来……?」
腕を引いたのは、ちょうど出くわした家康だったが、未来は家康の方へ振り返らず俯いたまま
いつもと様子がおかしい未来が気になり、家康はもう一度口を開いた
「どうしたの、未来?……まさか、あいつに何かされたの…?」
「…いえ……」
「未来、こっち向いて?」
力のこもった手で両肩を掴み振り向かせると、今にも泣き出しそうな悲しみを浮かべていた未来と視線がぶつかった
「…あの…、ごめんなさい…っ」
そんな顔を見られたくなかった未来は、家康の両手から逃れ、外へ飛び出していった
「未来…っ‼︎」
家康はその場に立ち尽くした
どうして未来があんな顔をしていたのか
考えずとも原因が想像できた家康は、来た道を戻った