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《イケメン戦国》散りゆく惡の華 ー毛利元就ー

第6章 許嫁





通されたのは離れの一室だった


部屋は簡素な作りで、木の温もりが感じられるとても綺麗な部屋だった


部屋の向こうにはもう一部屋と、外には露天風呂が見える


「素敵な部屋ですね…」


「普通だろ」


新しい畳の匂いがとても心地よく、ささくれだっていた心が落ち着いていく気分だった


「あれ…、まさか同じ部屋に宿泊ではないですよね…」


火鉢の近くであぐらをかいて、葉巻に火をつける元就に疑問を投げかけた


「許嫁なんだから、同じ部屋に決まってんだろ」


「いやいや…っ、何考えてるんですか⁉︎」


「あ?……はあ、別にお前みたいな奴隷取って食いやしねェよ、阿保が。この宿屋はさっきの伯爵たちも贔屓にしてる。今夜あいつらが泊まりに来ようが、後々あの店主づてに聞こうが、どっちに転んでもいいように恋仲の二人が同じ部屋に泊まる、ここまで抜かりない事実を作っておけば、あいつも疑わねェだろ」


「………っ」


振りでそこまでするのかと考えていると、元就は未来へ近づき距離を詰めにやりとする


「期待してるなら、応えてやらねェこともねェぞ?」


「……っ‼︎ば、馬鹿なこと言わないで下さい‼︎応えなくて結構です…っ!」


すかさず後退りして元就と距離を取る


「くくく。まあ、俺に相手して欲しけりゃ、もっと色気出して出直すんだな」


葉巻をふかし、煙を吐き出しながら元就は部屋の戸へ向かった


「夜には戻る。外には見張りをつけてるから、大人しくしとけよ、奴隷。逃げようなんて考えんじゃねェぞ」


そう言い捨てると、未来へ振り向きもせず部屋の外へ出て行った


「…はあ。なんなの、もう…」


へなへなと畳へ座り込む未来


「なんか疲れたな…。あの人もいないし、お風呂でも入ろうかな」


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