第4章 一難去ってまた一難
「先生!と....先生の彼氏さんですか?」
店に着くなり、慌てて出てきた右腕ちゃん。何かあったのかと一瞬身構えただけに、ズコッとベタにこけそうになった。
『えっと...』
「あ、すいません!後でじっくり聞かせてもらいます!
問題発生してしまって、どうしたらいいのかと相談したくて!」
ソファー席に座ると彼女が
これを見てください。と売り上げの書類を見せてきた。
『一日の予想の3~5倍近くの売り上げが出てる。
めっちゃええ感じやん。問題発生ってこれのこと...じゃないやんな?』
「はい...実は...」
話を聞くと、
間借りをしていて、夜のバーから、どうやら間借り分の家賃の値上げと閉店したと勘違いされるから営業をもっとひっそりしてほしい。という連絡がきたらしい。
『なるほどね。足元を見られたってわけだ。』
どうするべきかと考えていると
大倶利伽羅「したいことをすればいい。」
バッと顔を上げて伽羅ちゃんを見ると、
あの時のように背中を押してくれたような
優しい眼差しをしていた。
『...そう...やな...よし!物件見に行こうか!』
「先生...!!しましょう!ずっとそうしたいって言ってたから、先生の夢が叶ってすごく嬉しいです!」
『いつかって言ってたのに、こんなすぐになんて思ってもなかったわ』
笑いながら話していると、
コンコンと扉を叩く音とともにバーの店主が入ってきた。
伽羅ちゃんの目が鋭くなる。
気に食わない。と言ったように私と目を合わせた。
まぁ、なんとなくそんな気はしていたけど、ここまでとは思わなかったな...
「来月から家賃の値上げの件。承諾書にサインしていただけましたかね~?」
『今が5万円でしたよね?値上げって、まさかここに書いてある8万円のことですか?』
「そうですそうです!こっちの商売も上がったりなんですよ~!閉店したのかって問い合わせもあって困ってるんですよ~?」
『なるほど。こちらは夜はバーをしているときちんと宣伝をしていますが、そちらはされましたか?』
「そのために、迷惑料と手間賃として値上げを提案してるんですが?」
『借りる時の契約書には値上げをする可能性について書かれていないのと、今時SNSが主流なので、手間なんてかからないですよね?』